逆転パニック5
学園から歩いて龍王の家へと急ぐ。特に変わった様子も無く、静かなものだ。
「おい、変態じじい!居るんだろっ」
悠真は荒々しく玄関のドアを開けるが誰も出て来ない。何かがおかしい。
「…‥‥‥これはおかしいですね。龍王様が居ないというのは普通ですが時雨さんが居ないとは……」
龍王の言われようも酷いものだが晴人の言いたいことは分かる。確かにあの時雨が鍵も掛けずに出掛けるなど考えられない。
「……気のせいか、学園を出た辺りから人の視線を感じる」
悠真は声を抑えてコソッと言う。人の視線と龍王達の留守は繋がっていそうだ。
「ひ、人の視線って……どっ、どこ」
「静かにしろ…視線の事は俺も分からない。ただ、いつ襲ってくるか分からない…注意しておけ」
「…ここに居ても仕方ありません。とりあえず、二手に分かれて探してみましょうか」
晴人の提案に乗り二手に分かれる事になった。悠真達は東へ、晴人達は西を探す事にした。
「…うぅ。そのストーカーは今も私達の後ろを着いてきてるのかなぁ」
「あ、朱里ちゃん……そういう事はあんまり考えない方が良いと思うよ」
「……………」
朱里と涼が話してる間も悠真は辺りを警戒する。急な襲撃に備えて切り札もある。
「襲って来ないっすね…あね、いや兄貴」
「………いや、そうでもないようだ」
悠真は急に立ち止まり真っ直ぐ何かを見つめ、鋭く睨み付けている。皐月も慌てて前を向くと紅いフードに身を包む者が立っていた。
「………お前か。俺達をずっと着けていたのは」
「…さぁ?どうかな」
紅いフードの者はそう言って微笑む。フードの隙間から見える瞳は真っ直ぐ悠真に向けられていた。
「……くっ。性別が逆転したのはお前達の仕業なのか!」
「ふふっ……言う義理は無いよ。だって、敵同士だもん…あぁ、でも柊 悠真と柊 悠那は知ってるかもね」
俺と悠那の顔見知り…だと?
嫌な予感がする。俺の出した答えが間違っている事を信じたい。もし当たっていたら。
「………案内してあげようか?」
「…何だと」
「もぅ、だから龍王達が居る場所に連れてってあげようか?って言う感じです」
紅いフードはムスッと頬を膨らませて怒っている。
見た感じは子供だ。背も小さく、小柄で小学生のよう。
「………俺達が敵の言葉を信じると思うか」
「えぇっ!?ど、どうしよ……紅蓮様に言われたのに。出来ないとまたお仕置きだよぉ」
お仕置き?
それは少し同情するが…。




