逆転パニック4
茶髪の美人=悠真は今の状況を理解出来てないようで真顔で何かを考えていた。そんな中、
「おっ、悠真!お前は期待を裏切らなかったみたいね」
「……期待…だと………それにお前は誰だ?」
「ゆ、悠真……心の準備をしてね」
悠真にとっては知らない男がそんな事を言って手鏡を持ったまま近付いて来る。手鏡は裏にされていて悠真からはまだ見えない。
「……お前は誰だ?」
「私は朱里だよ」
「…っ!」
寝起きの、しかも女になった兄貴は男の想像を越えていた。肌は艶々で目はパッチリ。悠那と激似だがどこか雰囲気が違う。孤独な美少女という言葉が似合う。
「俺をからかっているのか!」
「良いからぁ、鏡で自分を見てみなさいよっ。そうすれば分かるわ」
女口調の朝日先輩が兄貴に近付く。そして前園が持ってた手鏡を奪い、そのまま鏡を兄貴に向けた。
「…なっ!」
手鏡を見た兄貴は当然ながら驚いていた。
でもその後、肩を震わせ拳を握る。背後からは怒りのオーラが見えた。
「…あのクソじじい………殺してやるっ!」
「ままま待って悠真っ!暴力はダメだよっ、それに凄く似合ってるよ」
「うふふ」
あぁ……もうごちゃごちゃだ。
というか兄貴が美人過ぎてドキドキしてしまう。
「ふわあぁ……皆、おはよ…う?」
ここでようやく悠那が起きて来た。
やはり悠那も性別が逆転していて男になっている。
「うわぁー…悠那は悠真みたい」
「え?………な、何これ!って、悠真ぁ!?」
「……くっ」
柊はまるで普段の兄貴みたいだ。勿論、兄貴の方がカッコいいが。流石は双子だな。
それにしても頬を赤める兄貴は可愛い。
「それではこれより緊急、会議を始めます」
全員が席に着き、静かに晴人の話を聞く。
さっきまで騒がしかったメンバーをまとめるのは大変だったみたいだがこうして会議を始める事が出来た。
「それで、晴人はどうやって戻すつもりよ」
「それはまだ分かりません。ただ、龍王様の所へ行ってこうなったのなら龍王様が元に戻す方法を知っているかもしれませんね」
「……龍王さん…か。悠真、大丈夫?」
「……何がだ」
朱里の質問に答える悠真だが誰がどう見ても機嫌が悪い。せっかくの美しさだがイライラのオーラによって唯一、朱里だけが話せている。
「いや悠真イライラしてるなーって思って。でも可愛いと思うよ」
「………俺は男だ。どうせあの変態じじいが考えた事だろう」
「うーん……そうなのかなぁぁ」
(そんな風には見えなかったけど…)
「では、皆さんはどうしたら元に戻れると思いますか?」
「……やっぱり龍王さんに会いに行く…ですかね?」
「やはり…それしかなさそうですね」
「…?どうかしたんですか朝日」
「ん。あぁ、忍はまだ寝てんのかなって思ってさ」
「あ……」
そういや忍先輩、遅いな。
いつもなら俺達はとっくに朝食を食べてる筈だ。
「…とりあえず、龍王様の家へ行ってみましょうか」
「「はい」」
こうして大した会議をしないまま悠真達は元に戻る手懸かりを求め龍王の家へ向かうのだった。
「……来たか。『こちら、暁学園。目標が行動を開始したみたいです……どうなさいますか、紅蓮様』」
悠真達が寮を出た後、茂みに隠れる男は電話で報告していた。
『…ふーん……分かった。じゃあ僕もそろそろ動こうかな……じゃ、また動きがあったら報告して』
「はっ!」
そう短い返事をすると一方的に電話は切れてしまった。携帯をしまうとバレないように、たが確実に悠真達の跡を着ける。




