逆転パニック3
「という感じよ」
「へぇ……それで、岩を触った後に異変とかはあったのか?」
「いいえ。異変はありませんでした」
相変わらず女口調の朝日先輩は放っておいて、氷乃先輩の意見を聞くと、異変が起こったのは次の日という事か。
「とりあえず異変が起こったのは今の所、朝日先輩と氷乃先輩だけか」
「そうねぇ…でも、岩に触ったのは皐月以外全員だからあの生意気な悠真も女子になってるかも」
「なっ!」
あ、兄貴が女子になるだと…。
何期待してるんだ俺!
「ハァ。とりあえず早く元の姿に戻りたいです」
「おはようございます!」
悲痛な氷乃の願いを打ち消すように少し高めの男の声が聞こえた。全員が釘付けになる。
現れたのは綺麗な黒髪に透き通るような肌。そして女子の制服を着た―――男だった。
勿論、見た事もない奴だ。
「フッ……あらん、すっかり別人ねぇ…朱里」
「ふぇっ?………え?…………だ、誰ですかっ!ど、どうなってるの皐月君っ」
前園は自分の置かれてる状況が呑み込めないのか、唯一異変がない俺に助けを求める。
「…鏡を見てみろよ。そっちの方が早いだろ」
「朱里さん、どうぞ」
「あ。ありがとうございます…………………………………………………………………………………………………………………………………」
氷乃の手鏡を覗いた朱里は数秒間、石のように固まる。そして
「きゃああああああっっ!!!」
氷乃の時と同じように悲鳴が上がった。
朱里はショックが大きいのか、ヨロヨロと後ろに下がり床に崩れ落ちる。
「大丈夫ですかっ?」
「あ……氷乃先輩。私、ダメみたいです」
あの前園からまるで生気を感じられない。少し気の毒に感じる。
「まぁまぁ。朱里だけじゃない筈よ♪後は、晴人と悠真、悠那に涼か」
朝日先輩は楽しそうだな。
そうこうしてる間にもまた来たようだ。
「………おや?何をふざけてるんです」
「あの……えっ、朱里ちゃん!?」
出てきたのは晴人と涼だった。しかし不思議な事に二人はいつも通りで変わった様子は見当たらない。
「ううぅ……何で涼ちゃんはいつも通りなのぉ!」
「ごっ、ごめんなさい」
「晴人……まさかオカマだったの!?って、怖い怖いよ、目が怖いっ!」
「まさか…まさか……私が弱いから?だからおかしくなったの……ブツブツ」
…酷い有り様だ。
何はともあれ、後は兄貴か。
「…一体何の騒ぎだ?」
ごちゃごちゃした中で聞こえた透き通るような声。まさか…まさかとは思いながらも声がした方向を向く。
「……?」
「あ、兄貴ぃぃぃ!!」
立っていたのは茶髪の美人だった。




