逆転パニック2
遡る事、昨日。
柊家から帰ってきた悠真達だが学園に戻らず龍王の家に来ていた。
「………何の様なんだ?」
「そんな怖い顔してないで、まぁ上がりなされ。茶でも出そうかのぉ」
悠真の話をろくに聞かず、どこかへ行ってしまった。仕方なく悠真達は居間に向かう。
「あ、悠真だ!!」
「おや。来ましたか」
居間にはうるさいメンバーが居た。リンは悠真を見ると抱き付き、時雨はそんなリンを見て父親のように優しく見守る。
「……それで何故俺達を呼びつけた」
「さぁ。龍王様が悠真達を呼べと…そう言えば何やら嬉しそうでしたね」
「龍王様、ニコニコだったよ」
……ニコニコだと?
いい歳して何気持ち悪い事しているんだ。どうせイヤらしい事でも考えているんだろう。
「あの……兄貴?」
「何だ?」
悠真に話し掛けた皐月だが何やら様子がおかしい。顔色が悪く、汗もかいてる。見るからに具合が悪そうだ。
「その……ちょっと風邪っぽくて、あの…先に帰っても良いですか?」
やはり風邪か。
酷くならない内に帰らせた方が良さそうだ。
「あぁ、帰った方が良さそうだな」
「大丈夫?私の魔法で少し軽くしようか?」
「誰がお前の手なんか借りるかっ!でっ、では先に帰らせて頂きます」
「って感じで帰ったのよね」
「…あぁ。って言うかいつまで女口調なんだよ!
気持ち悪いから止めろっ」
見た目は女だけど中身が朝日先輩だからな…。オネェみたいだ。
「…そんで、俺が帰った後どうなったんだ?」
「うふん。その後は……」
「大丈夫かな……皐月君」
「一晩寝ればきっと良くなるよ」
一晩か。
もう18時になってしまった。このままでは俺達の睡眠時間が無くなる。
「おーい。準備は出来たからのぉ、ワシに着いてくるんじゃ」
縁側から龍王が笑顔で手招きしていた。普段あまり見せないその笑顔に警戒が高まる。
「龍王さん、どこに行くんですか?」
縁側から外に出た俺達は森の中を歩いていた。不審に思いながらも歩く事、15分。ようやく目的地に着いたのか龍王は立ち止まった。
周りは竹藪に囲まれ、真ん中当たりには丸くデカイ岩が無造作に置かれている。
「……おい、こんな所に連れてきて何をするつもりだ」
「ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ。ワシはただ願掛けをしたかっただけじゃよ。勿論、悠真達のトーナメント優勝をじゃな」
前園は既に信じてるみたいだが俺はまだ怪しんでいた。あの変態じじいが本当に願掛けをしようと俺達を連れてきたのか?
「願掛けってどうやるんですか?」
「ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ。朱里ちゃんは信じてくれるみたいじゃの。やり方は簡単じゃ、この岩に全員で触れるんじゃよ」
岩に触れるだけだと?余計に怪しい。
龍王の事だ、また何か仕掛けてるに違いない。
「面白そう!やろうよ、悠真。やりましょう先輩!」
前園は丸め込まれた。
これが目的かじじい。
「うーん……ま、せっかくだしやるか」
「朝日がやるなら私も」
「私は良いですよ」
「……やる」
「朱里ちゃんがやるなら私も」
とうとう俺だけになってしまった。
こうなれば当たって砕けろだ。
「…仕方ない」
こうして俺達は怪しさ満々な岩に触れたのだった。




