チームワーク
落雷により砂煙は全体的に広がり視界が悪くなる。今自分や相手がどこに居るのか分からない状況で判断力が試される。
(………くっ、見えない)
朱里は砂煙の中、恐怖から動く事が出来ずに辺りをキョロキョロするだけしかできない。
ヒュー………
さっきまで無風だったが少し風の音が聞こえる。だが不思議な事にその風は次第に強くなっている気がする。
ヒューー……ヒューー………
(や、やっぱり強くなってる?……きゃっ!)
ついに風は強風へと変わり砂煙は一気に吹き飛び、朱里の他にも全員の姿が確認できた。
やはり突然の事に驚いているようで全員は何が起こったのか分からず立ち尽くしている。
「…ほぅ。やっと戻ったわい」
龍王の言葉に自然と状況の説明が頭に浮かぶ。
あの強風は龍王が起こしたものだったのだ。
「…おい、何故途中で止めた」
そう言って睨み付ける悠真は悔しそうだ。
龍王はと言うと「ふむ」と何度も繰り返し呟いている。
「……分からんか?
この実戦はお前達のチームワークを見る為じゃったが、これでよく分かったじゃろ」
龍王の言葉が心に突き刺さる。
悠真が考えた作戦ではチームワークではなく、ただの一対一の勝負になってしまっている。
「確かに龍王様の言う通り、私もチームワークを忘れていました」
「賢い晴人でも忘れるんじゃ。これは時間が掛かるのぉ………今日の修行は少し早いが終わりじゃ」
龍王が立ち去り、悠真達だけが残された。
自ら喋る者は居ない。そんな様子を見ていた悠那は何とか元気付けようと必死に考えていた。
(…ど、どうしよ)
「あの……皆。私から提案なんだけどさ!
修行も早く終わった事だし、私の家に来ない?」
悠那の提案に様々な表情を見せる。
悠真は黙りこみ、皐月と朝日と朱里は食い付き。後は何か考えているようだ。
「悠那の家って……柊本家? 私達がいきなり行っても大丈夫?」
「勿論、本家だよ。大丈夫大丈夫!友達連れて行くくらい中学でもしてたし……ただ、家は古い仕来たりがあるからそれさえ守れれば」
「俺は行くぜ!
テレビでも有名な名家の柊に行けるなんてドキドキするぜ」
「もう……朝日は子供ですか」
「あはは。
朱里ちゃん達は大丈夫だね……と、ゆ、悠真はどうする?」
遠慮がちに悠那は悠真に聞く。
悠真に視線が集まる。




