晴人VS涼
一斉に攻撃を仕掛けて行く。
それぞれが仲間の信頼と誇りを掛けて。
「ディ・リーザスト・ルメイク・フリザクト!」
「っと、いきなり大技か!なら…レ・ギィウス・ディ・エバージョン」
朝日と戦う皐月は先に詠唱を済ませ、魔法の展開が修了していた。だが朝日は詠唱を唱える。
表情はあくまで追いつめられているような顔ではない。
「…まだまだ余裕ってか。なら、喰らえ!」
魔法発動の準備が整った皐月はいつでも発動出来る。有利な筈だった――――――だが朝日は微笑む。まさかと思い自分の足下を見ると朝日のものだと思われる魔法陣が展開していた。
「――――――なっ!」
「油断したな、皐月……発動!」
朝日の声に反応した魔法陣は輝く。
魔法が反応したのだ。皐月の図上にも魔法陣が現れ、ピリピリと痺れるような感覚を感じる。
そして図上から雷が落ちる。貫くような痛みと痺れに気を失いそうになるが必死に耐える。
「……悪いな。これも修行だ」
皐月が先に唱えた魔法は術者が戦闘の許容内のダメージを受けた為、自然消滅した。
つまり皐月の魔法は発動する前に消えたのだ。
「あっ……皐月君!」
晴人と戦う涼は思わず叫んでいた。
開始と共に攻撃を仕掛けた涼だったが簡単に防がれてしまったのだ。
「…彼はまだ仲間を信頼していないのでしょう。同じ意味で、あなたも…ね?」
「―――っ!」
決して睨まれている訳ではない。
ただいつもと同じ微笑んではいるが目は笑っていなかった。
どこまでも見透かされているようで恐ろしくなる。涼は咄嗟に目を反らす。
(…まさか………バレてる?)
「ふっ……それでは我々も戦うとしますか。
とは言っても、既に私はいつでも発動出来る状態ですが」
「くっ……それなら」
地面に落ちていた枝を拾い、走る。
晴人は顔色を変えない。余程自信があるのだろう。
涼は走りながら詠唱を唱える。その間も晴人に近付いていく。
「…リ・リーファス・ドゥーク」
すると涼の目の前に魔法陣が現れる。
少し晴人の表情が変わった。
涼は魔法陣に向かって思いっきり枝を突き刺すように投げる。
魔法陣を通った枝はまるで拳銃で撃った弾のように物凄いスピードで晴人に向かっていく。
「―――っ」
少し焦った表情で予め伏せておいた魔法陣を発動させ、晴人を守る。地面が晴人を守る為に壁に姿を変えた。涼の放った枝は地面の壁に突き刺さる。
「……涼さんは!」
そこで涼が居ない事に気付いた。前方には居ない、となると残りは――――。
「発動ーーっ」
枝を身代わりに涼は晴人の後方に走っていた。
しかも走ってる間に詠唱を唱えていたのだ。
晴人の足下の魔法陣が輝く。
そして図上から凄まじい雷が落ちて来る。




