学園長
「この学園の教員です。
少なくても全ての教員が再生魔法を使えると思います。そうなれば1週間で元通りでしょう。トーナメントには間に合います」
丁寧な晴人の解説におもわず聞き入った。
教員なら生徒より実力が上の他に、ここ暁学園で働く教員は全員のが上級魔法使いらしい。
「そうですね、それなら校舎もすぐ元通りです」
「考えていても仕方ありません。明日も修行です、今日はもう休みましょう」
修行は授業の後に毎日ある。
授業に遅れない為にも早く寝る必要があるのだ。
トーナメント開催が言い渡されたのはHR中だった。担任である秋葉の口からだ。配られたプリントにはでかく延期も中止もないと書かれ、真ん中辺りには魔法の動画が貼られていた。
魔法の動画というのは、相手が伝えたい事を魔法の力で録画した後に貼り付ける。
こうすれば生徒達が触っただけで再生される。
そしてその動画の中には学園長が居た。かなりの年齢だが白い髭を生やし、手には杖を持っている。悠真達は初めて学園長の姿を見た。
『…暁学園の生徒の諸君、私が学園長の我王である。トーナメントの件では随分と心配させてしまったが、予定通りトーナメントは開催する。今まで通り修行に励むのだ……以上!』
最後まで見ると動画は勝手に消えてしまったが驚いた所はそこではない。
「……まさか我王が学園長だったとは」
教室中がその話題で持ちきりだった。知らない者も居るらしく、知っている者に聞く姿がちらほら見える。朱里は知らない者のようだ。
「え? 我王って?」
「知らないのも無理はないよ。でも朱里ちゃん、『伝説の魔法使い』は知ってるでしょ」
知っている者である悠那は朱里にそう言う。
「うん!かつて暁学園の生徒で卒業生。魔法の腕は一流で荒れてたこの地区をたった1日で元通りにさせちゃったんだよね」
「当たり。我王ってその伝説の魔法使いなんだよ」
「……あぁ。動画越しだがかなりの魔力を感じた」
「す……凄い!そんな人が学園長だったなんて驚きだよ…でも悠真と悠那は何で知ってたの?」
突然の朱里の質問に悠那は苦笑いになる。
「えっとね、知ってる人は多分お祖母ちゃんとかから聞いたのかな?古い話しだからね。私はお祖父様から聞いたんだ」
「そっか……あ、伝説の魔法使いって何人居るんだろう」
悠真にはあえて触れず、朱里は話題を変える。
「どうだろ、そこは聞いてないかな」
「そっか」
「おーい、そろそろ席に着け!」
こんなうるさい中、秋葉の声が響き次第に静かになる。生徒達は指示に従い自分の席に座る。




