因縁
悠真達は一日目の修行を終え、学園へ帰ろうとしていた。
あまり遠くはないので歩いて行ける。
「だぁ~! まだ一日目かよ」
「そんなに修行が嫌なら明日から朝日は来なくて良いですから」
「なっ……い、今のは無し無し。な? 幼馴染みという事で許してよ。レヒ」
悠真達が前を歩く中、二年生は後ろを歩く。
後ろを歩く朝日と氷乃の会話が嫌でも聞こえてきてしまう。
「え、あーちゃん先輩と氷乃先輩って幼馴染みなんですか?それにレヒって」
「こっ、これはですね」
「おぅ。でも正確には俺と氷乃と晴人が正解だな。で、レヒって言うのはあだ名だ」
よほど恥ずかしいのか氷乃は顔を真っ赤にさせて朝日の阻止をするが女子の小さな体では男子のデカイ体には敵わない。
騒がしさも気にせず歩く晴人と忍は凄い。
「あだ名か。でも、氷乃先輩から何でレヒになるんです?」
「やっぱ気になるよな。それはだな―――――――――あ?」
ここでようやく気付いた朝日。
朝日の隣にはプルプルと小刻みに震えながら涙を浮かべる氷乃の姿があった。
体から魔力が流れ出ているようで、流れ出た魔力が冷気となって漏れでている。
「氷乃先輩、落ち着いて下さい!」
「そ、そうだぜ氷乃」
「うぅ………ハッ!」
さっきまでふざけていた時と変わり氷乃は不意に真剣な顔付きに変わった。
朝日達も異変に気付き、周りを警戒する。
「…気を付けて下さい。近くに誰かが居ます」
一気に緊張感が増す。
辺りは森で360度、油断出来ない。
「ふふふふ…………脅かしてしまったかな?」
近くで声が聞こえる。
男の声だ。
(参ったなぁ……敵がどこに居るのか分かんないよ)
「ん……悠真?」
朱里は思わず声を掛けずにはいられなかった。
隣に居る悠真は具合が悪いのか、顔が青白い。それに額からは汗が出ていた。
「……大丈夫だ」
「そう」
(大丈夫って言われても…どうしたんだろ)
「……いい加減、出てきたらどうですか?
あなたは紅いローブの者ですよね」
「…………」
何か確信があるのか晴人はそう言った。
しばらくの沈黙の後、一つの木が揺れて一人の人間が姿を現した。




