三重展開魔法
「目的は何? もしかしてまた悠真を狙ってるの!!」
「フン……いや、本当の目的は他にある。それは達成した……だが、俺にはまだやる事があるからな」
No.5はそう言って自分の拳と拳を合わせた。
すると凄まじい風が悠那を襲う。どうやらこの男は悠那に復讐したいらしい。恐らく、任務失敗の腹いせだろう。
「……私も、暁学園の生徒として……悠真の変わりに、あの時のお礼をたっぷりしないとね」
「面白い……やってみろ」
No.5は拳を地面に叩きつける。
すると魔法陣が発動する。魔法陣は土色、つまり土属性となる。
地面は意思を持ったように地面が盛り上がり悠那に向かって迫る。
「くっ! ディ・アクト・レ・キール・エル・モーション・バイオレット」
迫り来る地面を避けながら詠唱を唱える。
「甘いな。土があれば俺は無敵だ」
詠唱無しで使えるNo.5は攻撃の速さが悠那より断然上だ。
それに土属性という事でどこからでも攻撃する事ができる。厄介だ。
「…こっちは随分と面白い状況になっているじゃないか」
「え? あ、あなたは」
悠真から聞いたが初めてチーム戦をした時に戦ったチームに居た女子生徒みたいだ。
確か皐月と戦っていたらしいが黒いローブに継ぎ接ぎだらけの卯のぬいぐるみでとても怪しい。
「零堂 月宵だ。
……お前が噂の紅いローブの」
「一人増えた所で何も変わらん! 大技を見せてやろう」
No.5は身構える。
何かをブツブツと呟いている事から詠唱を唱えているみたいだ。
「来るぞ……かなり強いのが」
そう真顔で言う月宵。詠唱無しで戦えると言っても限界はある。詠唱無しだとせいぜい中級魔法程度が限界だ。
「あの、月宵ちゃん……逃げた方が良いんじゃないかな?」
「……いや、真っ正面から受ける」
月宵の発言に当然だが悠那は驚く。
上級魔法を防ぐ程の防御魔法は悠那は使えない。
「で、でも直撃はまずいよ」
「…あれはお前の寮だろ? もし逃げれば寮に直撃するぞ。良いのか」
ハッとして悠那は後ろを振り返る。
月宵の言う通り後ろには寮がある。もし、逃げれば直撃するだろう。
今、寮を守れるのは悠那しか居ないのだ。
「ちょっと怖いけどやるよ」
「よし。面白くなって来た」
No.5の魔法の詠唱が完成する。
三重に展開する魔法陣は攻撃する前に威力が分かる。だが逃げる訳にはいかない。




