留守番
少し時が戻り、悠真達が修行に出掛けた頃。
寮には悠那の姿があった。
「んん? 皆はどこ行っちゃったんだろ」
悠那が自室で落ち込んでいる間、悠真達は揃って修行に出掛けた為に今は誰も居ない。
そんな事を知らない悠那は一人で寮の中を探していた。
「……いくら何でも酷いよ皆。そりゃ、悠真に大怪我負わせちゃったのは私だし反省もしてる…のに……私だけ仲間外れなんて」
リビングルームの椅子にポツンと一人座り机に顔を着ける。すっかり落ち込んでいるようだ。
と、そんな時。
ガチャッ
「…ヒッ! 柊、居たのか」
現れたのは秋葉だった。
中に人が居た事をかなり驚いたようで、お化けを見たかのように血相を変えていた。
そんな事も知らず悠那は一人、目を輝かせている。
「先生! 良かった。聞いてくださいよ、朝起きたら誰も居なくて……ビックリですよ」
「誰も居なくて当たり前だと思ったから来たんだよ。ま、電気付いてて怪しいと思ってたんだよな」
秋葉はわははは。と笑いながら話す。
そして話題は悠真達の居場所へと変わる。
「それで、先生は悠真達がどこに居るのか知ってるんですか?」
「あぁ。トーナメントに向けて、変態じ…いや、龍王の所で修行に行った」
龍王の事を嫌っているのかは分からないが苦虫を噛み潰したような表情だ。
話を聞いて悠那は少し複雑になる。
(…トーナメント、か。私はどーせ出ないから置いてきぼりか)
一人。という物は悠那だけでなく、悠真にも辛い過去だ。
悠真はそれ以外にもあるだろうが悠那にとっては一番辛い過去。
「……先生。一人って孤独ですよね………友達も居なくて、ずっと緊張しっぱなしで…気を許せる人も居なくて…」
「……柊」
秋葉が静かに一言だけ言う。
きらりと悠那の瞳に雫が溜まる。
「私、悠真とは双子ですけど似てないんですよ」
「…外見は激似という訳じゃないが似てない訳じゃないぞ。むしろ似てると思うが」
「あはは。そう言って貰えると嬉しいです…でも違くて、双子なのに魔法が使えるのと使えないのはおかしいですよね」
どんどんと暗くなっていく悠那。
秋葉は何も言わずに次の言葉を待つ。
「…悠真は魔法が使えないと知ると、幹部の人達は私と悠真を隔離したんです。そこで悠真は酷い扱いをされてるって聞いただけで私は…」
そこで溜まっていた雫が瞳から零れ落ちた。雫は尽きる事なく次々と流れ落ちる。
そんな様子を見て秋葉は優しく背中を撫でた。
どこか温かみがあり、お母さんのような心地よさを感じた。
「…柊に産まれてしまったんだ、仕方ない。それで神崎は隔離……お前は?」
「……私は魔法を使えましたから。酷い扱いはされませんでした…でも………一人ぼっちでした」
「……クッ、柊」
秋葉は自分の胸に悠那を優しく抱き着けた。
そして今度は頭を優しく撫でる。
こんなよくある光景でも悠那にとっては初めてだった。
――――――――バンンッッッ
寮の中に居てもよく聞こえる轟音。
そして遅れてやってくる叫び声。
秋葉と悠那はとっさに理解をして寮を飛び出す。そんな二人が見た景色は。
「あ………何これ」
地面は至る所が陥没し、校舎は半分無くなっていた。
「チッ……敵襲かっ!」
「おー。やっと見付けたぞ」
聞き覚えのある声に、悠那は声がした方を向く。
「ああっ! お前は紅いローブの」
現れたのは悠真と悠那の前に現れた紅いローブの男が居た。
長くなっちゃいました!
すいません。
次回は戦闘があります。
よろしければ、また!!




