笑顔
「…………やだ」
「…何?」
「絶対やだもん!」
朱里はそう叫び、泣き出した。完全に力尽きたのか畳にペタッと座り込むが泣き止まない。これにはさすがの悠真も困ってしまう。
「……ハァ。…………お前は何をしたいんだ」
もう何度目かのため息を付くと朱里に問い掛ける。朱里は涙と嗚咽でなかなか喋れない。
そんな朱里に悠真は落ち着くまで自分のベットに腰を掛けた。
(…こいつの事だ。きっと俺と仲良くしたいとでも言うんだろう)
「…ヒック、わ、私は…ヒック……悠真と…ヒック……本当の友達になりたい」
「!!」
朱里が発した言葉は悠真にとっては信じられなかった。今まで、近付いて来る人は柊の名前に興味があるか哀れみかだった。
だが朱里は違った。今まででこんな事を言って来た人は居なかった。
「………俺は一人が好きだ」
「…あ………そうだよ、ね」
悠真から帰って来た答えに朱里はしょんぼりとする。その表情は何かに絶望したようだ。放っておけばまた泣き出すかもしれない。
「……だが、お前みたいな奴なら…構わない。ただし騒ぐなよ」
「わわわわ……うん!」
さっきまでの表情と反対に、今は太陽のような笑顔で悠真を見ていた。目に溜まっていた雫も消え、朱里らしさが出ていた。
「……ハァ」
(…俺も甘くなったな)
「あれ? 悠真、笑ってる」
朱里の言葉にハッとした悠真だが遅い。したばかりの約束を破っているのも気付かずただ騒ぐ。だが悠真の表情は少し吹っ切れたような、表情が柔らかくなった気がした。




