秘密 2
部屋を出ると左右に長い廊下、前には庭。この龍王の家は広く迷路のようで迷ってしまう。だが朱里には悠真達を追い掛けるという目的があった。
「うーん……ここは勘で行くしかないか。えぇーっと、最初は…左だっ」
しばらく歩いても廊下と部屋だけでそこには二人の姿は無い。通りすぎた部屋はどこも覗いたがハズレだった。
「間違えたかな……あそこ右だったのかも! うぅー………んん!?」
引き返そうと決めた時、朱里の少し先に生き物が居た。うさぎのような二本の耳に少しピンク色が掛かったフワフワそうな毛。愛くるしい可愛い瞳。全体的にはうさぎに近いがどこか違う。何せ尻尾が長いのだ。うさぎの尻尾はこんなに長くはない。
「か、可愛い」
朱里はその生き物にメロメロになってしまっていた。近付いても逃げようとはしない。人間になれているようだ。
(…この子、妖怪?)
『きゅゅううぅ』
「こっ、この子!」
朱里に答えるかのように鳴いた生き物は朱里が伸ばした手に自分から向かって行った。
(もしかして心を読む妖怪?)
『きゅっ、きゅっ きゅっ』
今度は首を激しく振った。振りすぎて目が回ったのか、目を回していた。そんな様子を見ていた朱里は笑った。
「やっぱり可愛いなぁ……ってそうじゃない!!
悠真を探さなきゃ」
本来の目的を忘れていた朱里は勢いよく立ち上がる。そんな朱里を見ていた生き物は二秒程朱里を見るとゆっくり歩き始めた。
「え……ちょっと待って!」
着いていくと左右への分かれ道がある場所へ出た。生き物は真っ直ぐ壁を見つめている。
「…そこは壁だよ? 道じゃないよ。うーんと、左右どっちだろ」
『きゅっ』
生き物はそう壁に向かって短く鳴いた。朱里にはふざけているようには見えない。もしかしたら案内をしたいのかもしれない。
「壁に何かあるの?」
『きゅっ』
再び短く鳴く。確信した朱里は壁を押してみた。だがピクリとも動かない。
「うーん…それじゃ、ダメ元で開けゴマ!」
ゴゴゴゴ…
朱里がそう口にすると壁の中から荒々しい音が聞こえた。不安になった朱里は壁に耳を当ててみる―――――――と。
「きゃっ!」
壁が裏返り朱里は壁の中へと入った。壁の中は暗くなく、どこかの部屋のようだ。
『きゅ~』
「……ですか、悠真」
少しだが時雨の声が聞こえた。どうやら悠真も居るようだ。朱里は襖の向こうを覗いた。




