時雨vs紫音
「ゆ、悠真め! ふふんっ、私にそんな態度を取って良いのか?」
「……皐月 動けるか?」
「え? あ、はい」
「話を聞けー!いや、聞いて下さい」
今さらだが紫音の扱いが酷いと思うのは朱里だけだろうか。紫音は恐らく弄られキャラなのだろうと解釈した。
「…なんだ紫音」
紫音の必死さに不機嫌ながらも聞く悠真。それに紫音は涙を浮かべながら笑い始めた。すっかり立ち直った紫音は登場した時と同じようにマントを翻し時雨に向かって数歩進む。
「また暴れてるようだな、我がライバル(自称)よ! そんなに戦いたければ私と戦え」
「ええっ!紫音さんが戦うんですか」
あまりの驚きにまた話し掛けてしまった。話し掛けられたのが余程嬉しいのか紫音は笑みを浮かべていた。
「勿論。私は最強の吸血鬼なのだぞ? 勝てない敵ではない」
自信があるのか、颯爽と時雨の前へと歩く。
「…次は紫音…か」
「ふん。随分と醜くなったものだな まぁ、良い。長い年月にも及んだ勝負の決着……あぁ、長かった。お前に負け続ける事99敗……今日こそは1勝取ってみせるぞ!」
ベラベラと一人で自らの醜態を喋りまくる事に気付かない紫音は言い終わると清々しい表情をしていた。
「……紫音さん、時雨さんに一度も勝てないんだね」
「あぁ」
勝てた事がないのにこの自信はどこから来るのか不思議なぐらいだ。だが、紫音を見ていると勝てる気がしてそんな事を考えていた朱里は思わず笑ってしまった。
二人が向かい合う。視線がぶつかりバチバチと火花が見える。そして、止まっていた直にが動き出すかのように二人は一斉に動き始めた。
「…行くぞ! ディ・ヴァリファ・レ・アーム」
まずは紫音が詠唱を唱えた。魔法陣は眩しい白に輝いていた。構築が終わり魔法が発動する。どんな魔法が来るのか分かる時雨は尻尾で自分を隠す。
「チッ。光を見るな! しばらく目が見えなくなるぞ」
とっさに悠真は叫ぶ。悠真の言葉を聞き全員が目を塞ぐ。そして数秒後、物凄い光が全員を包んでいく。目を塞いでいてもその分かる。直接見たら失明してしまいそうだ。
「ナイスだ悠真! 隙だらけだぞ、時雨」
尻尾で目を守っていた時雨。紫音はチャンスを逃すまいと一気に懐に詰め寄る。勢いよく突きだしたパンチは時雨に命中したようだ。時雨は苦しそうに腹を押さえて踞った。




