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最強の魔法使い  作者: みか
二章 入れ替え戦編
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時雨の異変


「……むーー。あっちも激しいなぁ ほら、ほら、遅いぞー」


リンはその小さな体で軽々しく木の枝を登っていき目を細めていた。一方で晴人達は少し遅れて走ってきていた。


「だあああー!! 俺達と戦っておきながらまだ元気そうじゃねぇかよ、リンの奴」


「あはははっ。リンはこれぐらい準備運動にもならないぞ、朝日! ま、今は時雨様の元へ急がなければ……あの方が興奮して我を忘れにでもなれば…悠真なんて簡単に殺せる」


リンの言葉に空気がどんよりする。いつしかリンも喋らなくなり、下を向く。


「……おい、リン! 早くその時雨って奴ん所に行こうぜ。悠真は生意気だが俺の大事な後輩なんでね」


「朝日!……そうですね」


「…………朝日、たまには良いこと言う」


朝日のお陰でいつもの調子を取り戻した四人。そんな四人を見てリンは寂しそうに微笑んだ。だがそれも一瞬。巨大な爆発音でリンと四人の顔付きも変わる。

突風と砂煙の中、爆発音は絶えず聞こえる。誰かが近くで戦っているのだろう。


「お、おいリン……この爆発も」


「…恐らく時雨様だ。 時雨様、興奮して我を忘れてるのかも! 急ぐよ」


切羽詰まった様子で枝から降りてきたリンはそのまま走って行く。そんなリンを慌てて追いながら戦いの場が迫ってきてる事が嫌でも分かる。

木々を抜けて見えた景色は――――。


「…なっ!」


「ひ、日向君と浜野さん以外、戦闘不能!?」


戦いの場は想像を遥かに越える激しさだった。悠真は木にもたれ掛かり、朱里は地面に倒れている。戦っている皐月と涼でさえ傷だらけだ。

そして二人と対峙する時雨はまるで二人を見下すように見、立っている。変化が解けていて耳や尻尾が出ていた。


「……ま、間に合わなかった。 今の時雨様は興奮の余り我を忘れている………血に飢えた本物の魔物。早く、早く龍王様を連れてこなきゃ!」


リンが言ったように、今の時雨は血に飢えたような目をしている。時雨と皐月、涼は出方を探っているのか動こうとしない。まるで二人の周りだけ時間が止まったと錯覚してしまう程だ。


「リン……貴方は龍王様を連れてきて下さい。ここは我々に任せて、早く」


「…うん!」


自分は残ると言いかけたリンだがすぐに呑み込んだ。力強く返事をするとリンは反対側へ走って行った。残された晴人達は言葉を発する事なく、お互い目で会話をする。


「うっし! 俺達も加戦すっか」


「……いえ、まだですよ」


今すぐにでも走り出しそうな朝日を氷乃は止める。氷乃の視線は皐月達の方に向けられていた。


「なんで止めんだよ! 後輩がこのまま見てるだけで良いのかよ」


「…先輩としては最低です。でも朝日、私達は何のためにここへ来たんですか? リンが私達を強くしようとしてくれたように時雨さんも神崎君達を強くしようとしてるんですよ」


朝日はハッとして悠真達を盗み見る。視線を氷乃に戻すと次は氷乃の表情を見る。泣くのを我慢するような表情、それは相手を信用してる時にしか見せない表情だ。


「わ、悪かったな氷乃」


「……いえ。分れば良いんです」


空気が和んだ所で、落ち着きが戻った朝日はもう一度時雨を見る。

見た所で変わりはしないが相手の弱点を探る。それだけでなく、リンが言っていた興奮すると我を忘れるという時雨を観察する。特に落ち着いているようには見えるが目は本気だ。今の相手は確実に向かってくる皐月達を殺そうとするだろう。


「……皐月の奴。連携するみたいだな! 上手くいくのか」


「彼らを信じましょう」


時雨と向かい合う皐月と涼。勿論、時雨の異変には気付いている。だが負ける訳にはいかない。一人の力では無理でも二人ならいける。


「行くぞ、浜野」


「はいっ!」


二人はいよいよ時雨を倒す、最後の作戦に出た。邪魔する者が居ないこの戦いは命懸けだ。


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