時雨の力
「……時雨は強い。だが、力を合わせれば勝てない事もない」
悠真の言葉はここに居る者を再び奮い立たせた。やる気に満ち溢れる悠真達を見る時雨は、嬉しそうに微笑んだ。
「でも、どうするの?」
「………作戦を伝える。来てくれ」
◇◇◇
「……ふふ。 作戦は決まったんですか?」
時雨は再び微笑んだ。悠真達はそれぞれバラバラに立っている。これを見て時雨の表情に凄みが増してきた。
「……行くぞ! 精霊王の名の下に我は見透かす者なり。 ル・グレスト・レ・アルマージ」
「…その手は通用しませんっ」
時雨は顔色一つ変えずに狐火を出す。狐火で防御するようだ。だが、悠真は構わず止めない。
「へっ! 待ってたぜ。 ディ・フレイド・デューク」
皐月は間髪入れずに詠唱を唱える。時雨の足下に魔法陣が展開する。狐火で悠真の魔法を抑えているので皐月の魔法は防げない。
――――勝った。そう思ったが終わりではなかった。時雨が変化を解いたのだ。変化を解いた時雨は耳と尻尾が現れる。その尻尾で攻撃を防ごうとしたが!?
「……!!」
「残念だったな! この魔法は攻撃じゃねぇんだ」
時雨の狐火は悠真の炎を巻き添えに凍りついていた。流石に時雨は驚きを隠せない様子だ。
「ま、まだ終わりじゃありません! エル・ファルドレイト・エルム」
続いて朱里の魔法。
「うっ」
時雨の視界を悪くする。その隙に氷のナイフを時雨に向かって突き刺す皐月。
「や、やった?」
「……………失敗か」
離れて居ると何が起こっているのか分からない。間近に居る皐月は何かの危険を感じていた。
「…なかなかやりますね。 僕も少し本気を出しましょうか」
一瞬にして時雨の顔付きが変わった。優しい顔付きからまるで別人のようだ。笑顔が消えたのだ。皐月が突き刺した氷の塊は時雨の狐火によって溶かされていた。
今回は少し短いです。




