龍王救出作戦
「……よし、行けっ」
悠真の掛け声で悠那は龍王の所へ走る。その間、悠真はローブの二人を相手にする。勝ち負けの問題ではなく、どれぐらい時間が稼げるかだ。
「むー!おい、No.4。柊 悠真の相手は俺に任せろ!お前はあのムカツク女を頼む」
「簡単に行かせるか━━ル・グレスト・レ・アルマージ」
精霊王と契約している時より威力は劣るが足止めにはなる。実際に紅いローブの動きは止められた。
「……あんた一人で止められると思ってるの?僕らは詠唱無しで魔法使えるんだよ」
「これは足止めだ。龍王を助けられれば良い」
そうだ。この作戦は悠真が敵の足止めをしている間に悠那が龍王を助けるという簡単なものだ。だが、悠真でも足止めはあまりもたない。
「ふぅん……ま、僕は止められるかもしれないけどNo.5の方はどうかな?」
紅いローブの言葉に悠真は丸刈りの男を見る。男の足元は茶色の魔法陣が現れている。既に構築は完了していて地を這うようにクネクネと土の中を移動する。その先には悠那と龍王がいる。
「━━!しまった」
丸刈りの男の狙いは最初から悠那だった。急いで向かおうとするが紅いローブが立ち塞がる。
「ふふっ♪あの女が消えればお前は僕らと来る気になるだろ?」
「……………どけっ!ルーフェス・アーク」
悠真が使ったのは防御魔法だが一瞬の隙は稼げる。その一瞬の隙をついて悠真は悠那の元へ急ぐ。
「…悠那ちゃん 逃げるんじゃ!」
「いやっ!あともう少しなの。この魔法。固くて でも突き破れば破れるの」
━━━━ガガガガガガガガ
地面を抉る音がすぐ近くまで聞こえる。あの丸刈り男の攻撃が迫ってきている事は悠那も分かっている。だが、悠真の役に立ちたいという思いが逃げるという選択肢を捨てていた。
「悠那ちゃん 後ろじゃっ!」
「あっ……きゃっ」
地面から尖った土の塊が悠那目掛けて飛んで来る。今からでは防御魔法は間に合わない。終わりを覚悟した時
「━━━悠那」
━━━━━━━…
「あれ、あーちゃん先輩 悠真と悠那ちゃんはまだ帰ってきてないんですか?」
日は暮れて夕方。朱里が寮に戻ると二人が帰っていない事に気がついた。
「あぁ。魔法使った罰で遅くなってんじゃねーの?でもじきに帰って来るだろうよ」
「そうですね」
━━━━━━…
体を押され、悠那は地面に倒れた。それと同時に温かい液体が飛んで来る。龍王が何かを叫んでいる。だが悠那には何も聞こえない。ゆっくりと振り返る、と悠真が倒れていた。
「…ゆ、悠……真?」
悠那は呼び掛けるが悠真はピクリとも動かない。悠真の腹辺りから大量の血液が流れていた。真っ赤な鮮血は既に水溜まりを作っていた。




