紅いローブの刺客
「…悠那 っ!」
慌てて悠那の元へ戻るとそこには見覚えのある老人がいた。その老人に悠真は怒りを拳に集め、老人に向かって撃つ。
「ほれっと」
後ろから飛んできた悠真の拳を軽く避ける老人。だが避けられると分かっていた悠真はその一瞬で悠那の前に立つ。
「……何をしている 変態じじい」
そう、目の前に立っているのは龍王だった。悠真の質問に龍王はふぉっ、ふぉっと笑っている。
「いやぁ~のぉ。実は学園から二人が出て行くのが見えてだの 悠真がついに女子に告るのかと思って着いて来たんじゃ」
「下らない……悠那は俺の妹だ」
「な、なんじゃと!」
龍王は雷に打たれたような衝撃を受けた。悠真に兄弟がいる事は知っていたがまさか…女子だったとは!
「じゃが、全く似てないではないか(主に性格)」
「に、似てるもん!この間だって友達に似てるって言われたんだもん」
いつの間にか復活していた悠那は必死に似てるエピソードを叫ぶ。
「ふむ。容姿は似てるが やはり性格がな」
「で、本当は何をしに来た」
悠真は逃げられないように龍王の服を掴む。逃げられなくなった龍王はハァとため息を付くと表情は真剣な眼差しへと変わった。
「……お前さん、というかお前さん二人を尾行する怪しい奴らがいる事は気付いておったか?」
悠真の予想は当たった。龍王が意味もなくこんな場所に来る筈がない。それに少し前から感じていた視線の事もそうだ。誰かが悠真と悠那を尾行している。
「…あぁ。そいつらは何なんだ?」
「それは分からんよ。ただ、1つ言えるのはお前さんにとって敵という事じゃ」
今も尾行されているなら悠真達の様子は分かる筈だ。だがいつも尾行するだけで攻撃をして来ないのは何か理由があるのだろう。
━━…ズルッ
「…気を付けろ悠那 何か来るっ」
これは悠真だけでなく、悠那と龍王も感じ取っていた。不意に電気が消える。暗闇の中、何かが地を這いずり回るような音が聞こえる。相手は地属性なのだろうか。
「でも視界が悪過ぎるよ!これじゃ、どこから来るか検討も付かない」
「それもそうだな……非常事態という事で魔法使ってもお咎め無しだな。相手を捕まえればあの氷乃先輩も喜ぶだろう」
悠真の言葉に悠那は言い返せない。学園と外での魔法の使用は禁止されてるが身に危険が生じた場合、魔法の使用は許される。悠真だけでなく、悠那と龍王も身を構える。
━━…ズルッ
「きゃっ!!」
その悲鳴は後ろから聞こえた。悠那が捕まったのだ。次の瞬間、急に電気が付く。そして目の前には全身を覆う紅いローブを着た者と同じローブの者に捕まる悠那の姿があった。




