柊 悠那
(…………転入生か…、まさかな)
次の日登校すると転入生が入るという話題で持ちきりだった。それは教室に入っても収まらず鬱になっていた。
「悠真聞いた?転入生ってあの悠那ちゃんって言う子かなぁ」
相変わらず空ばかり見ている悠真に朱里は居ても立っても居られず話し掛けた。昨日、様子がおかしかった事も含めて話しをしようと決めていた。
「……さぁな。だがその転入生がCクラスとは限らないぞ」
それもそうだ。転入生の姿は生徒は誰一人見てなくただ憶測の噂だけが一人歩きしている。それに学年すら分かって居ないのだ。
「う……悠真はそういうの気にならないの?」
朱里がそう聞くと悠真は短く「あぁ」と言って立ち上がった。
「え?どこ行くの……もう少しで始まるよ」
とっさに悠真の腕を掴む。悠真は嫌そうに顔を歪めるが朱里はそれでも離さない。
━━━━━━…キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。油断して離してしまうが悠真はそのまま席に着いた。それから数分後、秋葉がご機嫌そうに鼻歌を歌いながら入って来た。
「はいはい、今日は知ってると思うが転入生を紹介するぞ」
「え、マジでうちのクラス!」
「男ですか女ですか?」
転入生が自分達のクラスに入ると知りざわめく教室内。それぞれが周りの友達と喋り始める。
「静かにしろ!あんまり待たせるのもあれだからな、入って良いぞ」
秋葉はドアに向かってそう言う。いつの間にか教室内は静かになりさっきの賑やかさが嘘のように静寂に包まれる。
ガラガラガラ
ドアが開き入って来たのは女子だった。茶髪で腰ぐらいまである艶やかな髪を自然に揺らし、瞳はパッチリと前を見据え腰には刀が入っているであろう鞘を差している。女子は秋葉の横に並ぶとニコッと微笑んだ。
「えー、では簡単に自己紹介よろしく」
「はい。私は柊 悠那と申します。未熟者ですが次期柊家当主候補です。どうか、よろしくお願いいたします」
柊という言葉に教室内はまたざわめく。勿論、それは朱里もだ。昨日会った人物と同一人物だが昨日とは何か雰囲気が違う。何か凛々しさを感じる。それともうひとつ、朱里は悠真を見る。
(……柊って……悠真の本当の名前?)
悠真は悠那を睨んでいた。額には汗が滲み少し青ざめている。悠那と関係あるのか確かなようだ。
「………」
「んじゃ、柊さんの席は…っておい!」
秋葉の説明を余所に悠那は歩き出し、悠真の席の前で止まった。二人の間にはただならぬ雰囲気を醸し出している。
「……会いたかった、お兄ちゃん!」
そう言ってクラスメートが見てる中、悠那は抱き付いた。




