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最強の魔法使い  作者: みか
一章 日常編
3/106

先輩


商店街を抜けて直線の道に巨大な魔法使いの高校、暁学園あかつきがくいんが建っている。全寮制で個人の魔法のレベルによって寮が別れていた。寮分けに関しては既に決まっていた。



「…よし、着いた」



青年は遅刻だというのに清々しくそう言ったが女子の方は落ち着きがない。それもそうだ、遅刻しているのだから急がなければ入学出来なくなってしまう。



「……あ、あのね。助けて貰ってありがとう。でも私達は遅刻してるんだし、急がなくて良いの?」



女子の言葉にピクッと肩を震わせた青年。どうやら遅刻していたという事を忘れていたらしい。青年はため息をつく。



(だ、大丈夫かな…この人)



「…分かってる。だが、今日は寮に荷物を移して寮毎でパーティーらしいぞ?だから遅刻しても何ら問題ない訳だ」



「そっかぁ!って、違うでしょ。パーティーしてくれてるなら急がないと…皆が待ってるかもしれないし…急ご、えっと」



ここまで言ったは良いが青年の名前をまだ知らなかった女子は狼狽えてしまう。そんな様子に青年はもう一度ため息をつく。



「…神崎悠真かんざき ゆうま。あんたは?」



悠真は先にそう言って女子にも言うように求める。と、女子は笑顔になった。



前園朱里まえぞの あかりです。よろしくね!あ、そうだ」



そうだという言葉と共に両手をくっ付け何やら怪しい目線で悠真を見る。悠真は何か良くない事が起きそうな気がした為、先手を打つ。



「お前、言ってただろ。急がなければパーティーを開いてくれている皆に失礼だ的な事を」



「う、うん。何気にちょっとアレンジしてるでしょ?まぁ意味は合ってるんだけど」



目的は一緒という事でお互いそれぞれの寮へと歩き始めた━━━のだが、悠真が歩くその後ろから朱里が着いてきていたのだ。それには思わず悠真も足を止める。



「おい、何故着いてくる?」



「…何故って……私もこっちの方角だから。あ、もしかすると悠真と寮が一緒かもね」



朱里の言葉に何かの間違えであってくれと本気で考えた悠真だった。学園の敷地内から入って30分が経つ、とようやく寮が見えてきた。だがその寮の様子に思わず二人は持っていたカバンを落としてしまった。


「ぼ、ボロいぞ」



悠真の言う通りだった。寮は三階建てらしいが問題は見た目と敷地だ。寮の敷地内には雑草が自由に生え放題。建物は壁が茶色く変色していて元の色が何色だったのか分からない。と、何かと荒れ放題の寮だ。



「……いっそのこと燃やすか?じょ」



「こら、そこ。学園でむやみに魔法を使う事は禁止されていますよ」



冗談で言ったつもりだったがそう言う前に女子の声に書き消された。後ろを振り返ってみると幼い顔立ちの女子生徒が立っていた。茶髪で肩まである髪を後ろで結んでいる。目は潤んでいてまだ幼さが残る顔立ちと背の低さで小学生に見えてしまう。



「…あ、わりぃ。冗談で言ったつもりだったんだが本気だと思われていたらしい」



「いえいえ。分かれば良いんです…あ、君達は入学生ですか?ここ、古株寮に入るみたいですね」



(…コイツ、意外に先輩か)



「あ、そうなんですよ。えっと、」



「申し遅れました。私は連城氷乃れんじょう ひのです。こう見えて暁学園、高等部二年生です」



最後に自分の学年を言ったのは先輩だと分かって貰う為だと悠真は思った。現に朱里は気が付いていなかったらしく、驚いていた。



「ちなみに古株寮の生徒は皆、キャンプ場でバーベキューしてますよ。なので今寮に入っても誰も居ないのです」



バーベキューという言葉に朱里は目をキラキラさせているが悠真は乗り気ではなかった。人と群れるのは好きでは無いからだ。一人、立ち去ろうとすると呼び止められた。



「ダメだよ君。各寮が開催する歓迎パーティーは寮に入る者なら必ず参加しなければいけない行事なんだよ」



「………ハァァ。分かった、参加するからキャンプ場に案内しろ…して下さいよ」



一瞬、タメ口で話そうとしたが敬語に直した。先輩は待ってましたという顔で「着いてきて」と言った。









同じ時間、二人と先輩を尾行する怪しい者の影があった。



「……アイツか。ぶっ殺してやる」



そう言うと静かに微笑んだ。その表情と言葉からは憎しみが感じ取れた。




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