謎の子
「もぅ…悠真ったらせっかく誘ったのに断るなんて酷いと思わない!?」
「お、落ち着いて朱里ちゃん」
「……なんの話しですか?」
待ち合わせ場所である学園の近くにあるデパートの休憩室にて朱里、涼、氷乃は怒りが収まらない朱里を落ち着かせていた。
「何があったかは分かりませんが、せっかくの息抜きですからもっと楽しみましょう!」
「…氷乃先輩」
氷乃の言葉で元気が出た朱里は本来の明るさに戻っていった。ある程度見て回り少し疲れてきた頃、朱里は不審な人を見つけた。
「んん!?」
後ろ姿だけだが茶髪の髪で首にはマフラーを巻いている。そのお陰で女子か男子か区別がつかないがその人は何かを探してるかのようにキョロキョロしている。
「どうしたの朱里ちゃん」
「ねぇ、涼ちゃん。もしかしたら悠真かも。本当は来たくてたまらなかったけど行かないフリして尾行してたとか?」
「でもあの神崎君が尾行なんてしますか?」
それもそうだった。だが今の朱里には考える暇は無かった。
「悠真を捕まえる」
そう言ってゆっくりと近寄る。近寄るにつれてますます悠真に似ているようだ。朱里はその人物の肩を叩こうとすると、
━━━━━━…ヒュッ
目の前の人物はとっさに振り向き朱里の首元にそっと片手を置く。悠真に似ているがどこか違う。そんな事を考えていると涼、氷乃も慌てて近寄る。
「あ、朱里ちゃん!すいません。私達は怪しい者じゃなくてですね」
「…あっ…ごめん」
一言謝ると人物は手を戻す。唖然としていた朱里もようやく戻る。
「すごいね、あなた…えっと、お名前は?」
「名前ね……私はひい、いやひー、久野。久野 悠那よ」
「そう、悠那ちゃん………………女の子!?」
女の子だったという事に驚く朱里だが涼と氷乃は気付いていたらしく、あまり驚いていない。
「男…だと思った?まぁ、これで髪が短く見えるせいだと思うけど」
悠那は首元に巻いていたマフラーを取るとマフラーで隠れていた髪が広がった。髪は腰ぐらいまでありそうだがマフラーでどう隠していたのか疑問だ。
「すごいね、悠那ちゃん!」
「…所であなた、久野さんと言いましたか。久野さんはここで一体何を?」
喜ぶ朱里とは対照的に氷乃は疑いの目付きで悠那を見ている。その疑いが分かったのか、悠那も氷乃を見つめる。
「…私、実はある場所へ行かないといけなくて…恥ずかしながらその地図を無くしてしまい困っていた所なんだ」
悠那が言うにはこうだ。ある大事な仕事を任された悠那は地図を見ながらここまでたどり着いたが、少し目を話した瞬間に地図を盗まれ、仕方なく地図を追ってこのデパートへ来たらしい。
「…怪しいですね。そもそもそんな大事な仕事なら地図に頼らなくても自力で行ける筈です!」
「あぁ、それは無理。私は極度の方向音痴で家から出てたった5分で迷っちゃうの」
悠那は照れたように微笑む。
「困ってるんだね……じゃあさ、どこに行きたいのか教えてよ!私達、この近くの学生だから」
「あ、ありがとう。えっと、行きたい場所はー…暁学園だ」
「うんうん暁学園ね…………えぇ!」
朱里達の驚きにも動じず悠那は案内して貰えると思いニコニコ笑みを浮かべお辞儀をした。




