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最強の魔法使い  作者: みか
一章 日常編
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闇の幻覚


悠真は暗い底の見えない闇の中に居た。感覚的にゆっくりと落ちていく感じだ。体は重く、体の自由は効かない。


(……俺は………あいつに負けたのか?)


負けを認めるのが怖かった。昔の弱い自分が勝手に思い出される。暗闇の中、ようやく地面に足が着いた。長い間沈んでいた感覚だ。


(…これはあいつの魔法か)


「…!誰だっ」


誰かの気配を感じ悠真は身構える。が、闇から現れた人物は想像を超えた者だった。


『……初めまして。僕は柊 悠真だよ』


そう。現れた人物は幼い頃、悠真がまだ柊家に居た頃の姿のままだ。悠真は困惑した。幼い悠真は闇を多く持つ時期だった。


「なっ…これは……魔法なのか?」


とても魔法で作られた幻覚とは思えない。まさに今目の前に居るのは幼い悠真そのものだ。幼い頃にはあった感情に体の傷。やはり正確だ。


『…僕は幻覚じゃないよ?僕は柊 悠真の闇そのもの……つまり僕とは親身一体なんだよ』


(…………闇そのもの…だと)


『…僕の闇、それは“魔法が使えない”事だった。だからお爺様には捨てられ、あいつにも蔑まれたんだ』


「……っ」


幼い悠真の言葉に冷静な悠真は動揺を見せた。その一瞬の動揺を闇は見逃さない。


『…ほら、見て』


同時に闇の中が明るくなり人物が写った。それはもう居る筈が無い大好きだった悠真の母親と幼い悠真だった。


『見て、お母さん!綺麗だよ』


『まぁ!本当ね』


幼い悠真が母親にピカピカの石を渡していた。渡された石を母親は嬉しそうに受け取っている。悠真にとっては数少ない楽しい思い出だ。


『…あの頃は本当に楽しかった。魔法を使えなくてもまだ年齢的に許されていたから……でもその幸せは長く続かなかったんだよね』


次に写し出されたのは母親の葬式の映像だ。とてもリアルで触れれば本当に触れそうな程。そして次に写ったのは幼い悠真とまだ若い頃の柊当主、源十郎だった。


『…私の考えている事が分かるな?七歳、本来なら魔法はとっくに使えてる筈……もしこのまま魔法が使えるようにならなければお前を容赦なく切り捨てる。なお、お前を指導する者はお前の兄…来なさい』


源十郎の言葉に襖は開く。現れた人物は幼い悠真、現在の悠真の恐怖の対象である兄、ひいらぎ 悠人ゆうとだった。赤い髪に細い目、細い体によく似合う着物を着ている。


『………さぁ、行こうか悠真』


『は、はい』


その頃の悠真はまだ柊 悠人の怖さを知らなかった。なにも知らず幼い悠真はついて行った。そこで映像は消えた。だが、最後の映像は悠真を恐怖に包み込むのは簡単だった。


「…ぐっ……っ」


『…ふふっ……ここに居れば楽しかった思い出に囲まれて暮らせるよ?だからここに居よう…』


闇は怯える悠真を抱き締める。いつもなら腕を振りほどくであろうが今はそんな余裕は無い。闇に抱かれ、眠気が襲う。


『…大丈夫。ゆっくり休んで』


闇の言葉を聞きながら悠真は意識を手放した。


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