表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔法使い  作者: みか
三章 禍罪の者編
105/106

急展開






「え、なんでセバスチャンが!?」


「…お嬢様。今すぐ帰りのお支度を」



前園が驚くのも普通だ。

前園が復活した次の日、学園に子供を引き取る為に車が押し寄せたのだ。無理もない話しだ。学園であんな事があり

、しかも狙いが十傑の球体だと分かった以上、安全の為に連れ帰るのは当然だ。



「なんでユーリがいるのよ!」


「だ、だって当主様が~」



相変わらず涙目を浮かべる勇里もいた。



「やだ! 私、帰りたくない、ここに残る!」


「……お嬢様、勘違いなさらないように。これは旦那様のご命令です……私には勿論、お嬢様にも選択肢は無いのですよ」



執事の言葉を聞くと前園は黙り込んでしまった。

前園の家庭も複雑なのかもしれない…。



「…ちょっと、さっきから聞いてれば。朱理ちゃんはお父さんの操り人形でも無いのよ!」


「ちょ、悠那様っ!」


「………お言葉ですが悠那様。これは前園家の問題でございます、首を突っ込まないで頂きたい」


「…な、なにを!」



もはや修羅場だ。

悠那は完全に怒っている。



「ーーーーー止めて!」



その一言で悠那と執事は黙り込んだ。

声を発したのは前園だ。



「あ、朱理ちゃん」


「ありがとう悠那。でも私、帰るよ」


「お、おいお前! そんな簡単に決めていいのかよ」


「…………ありがとう皐月。でもお父さんに迷惑掛けられないでしょ?」



いつものように微笑む前園だが、その笑顔はどこか寂しさが混じってる気がした。



「生徒会長様も、よろしいですね?」


「……私にそんな権限はありませんよ」


「……そうでしたか」





「…悠那様……」


「………私も、帰るよ」



それだけ言うと悠那も自分の部屋へ戻って行った。あんなに通いあってた心が、少しずつズレ始めていくのを感じた。












「……それじゃ、またね。あ! 手紙とか書くからね! だから………ごめん」


「朱理ちゃん……。ねぇ、悠真はどうするの?」



校門前。黒い車に乗り込んだ前園と悠那が窓から顔を出している。悠那の質問は恐らく、一緒に柊に来るかという事だろう。



「…俺は……ここに残る」


「………そっか、分かった。じゃあ…またね」



窓が締り車が出発する。

俺はただ、見送る事しか出来なかった。



「……ねぇ、悠真。また…『会える』よね?」



不安そうに俺の顔を見つめる前園。

その質問の意味はよく分からないが会えると言っておけば無難だろう。



「……あぁ、『会える』」


「…うん。またね」



名残惜しそうに身を乗り出そうとするが窓が閉じる。そして車は発進していく。不思議ともう会えないんじゃないか、そんな気がしてきた。



「…行っちまったな。お前らはどうすんだ?」


「…私は、学園が心配ですから手伝える事はするつもりですが…この寮には当分戻って来れないでしょう」


「……俺は。家に帰るぜ…うっせーからな」


「……そうですねぇ、私も帰ります」


「……私も…帰る」



やはり全員がバラバラになる。

分かっていた事だがその時になると心がチクッとする。



「兄貴は、どうするんすか?」


「…俺はーーーーー」



帰る家もない。

だったら全員が戻って来るまで…



「俺は寮にいる」


「兄貴!」


「……そうですか。では神崎君、寮を頼みます」


「……はい」


「おぉ、一丁前になりやがったな~」



こんな平穏な日々が、もうすぐで終わる。

だがまた全員集まれる事を信じて待つしかない。












あんなに騒がしかった寮が今では静寂だ。

前園と悠那が家に帰ってから数日後で皐月、忍先輩、晴人先輩は家に。氷乃先輩、朝日先輩は忙しいのか寮には殆ど来ない。



「………暇だ」



話す相手が居なければ退屈を凌ぐ相手もいない。寮の中は悠真一人しかいない。前までは一人が当然だった。だが学園に入学してからは一人が当然じゃなくなっていた。不思議だ……仲間というのは心地がいい。




ーーーーーえた




「…ん?」



一人しかいない筈の寮から人の声が聞こえる。最初は聞き間違えかと思ったが何故かそう思えなかった。不審に思いながら声がしたリビングルームに向かう。



「………」



階段を降りてリビングルームへと差し掛かる時




ーーーーー見つけた!




そんな声と共にテーブルの上に乗る少女を見つけた。金髪に碧目の少女は俺を見て子供のような無邪気な笑顔を見える。




ーーーーーズキン




「…ぐっ、誰だ……」



「……私の事、忘れちゃった?」




さっきの笑顔とは真逆の今度は悲しそうな表情をする。どこか前園に似てる気がする。




「忘れたも何も、俺はお前を知らない」


「……これでも?」




少女はゆっくりと目を閉じる。何をするつもりなのか、俺は警戒する。そして少女は再び目を開くがーーーーー




「なっ! なんだその瞳は」


「……どうかな悠真。思い出せた?」




ーーーーーズキン、ズキン




そう微笑む少女、いや✕✕✕の瞳は綺麗な碧から血を垂らしたような真っ赤に変わっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ