裏切り者の正体
「フフッ。ここでの用事は済んだからね、そろそろ帰らせてもらうよ」
「ま、待て! 用事って……一体何をしようとしてるのっ」
「……んー。しょうがない、教えてあげるよ……ほら、これは何だと思う?」
悠人はそう言うと眩い光を放つ球体を見せた。ただ、この球体を見た源十郎は顔を歪ませる。
「本気か?それは、その球体は…」
「ん〜、勿論知ってるよ。この球体にはこの世界を保つ力があるんでしょ」
余裕そうに笑みを浮かべる悠人だが、他はそうもいかない。
「世界を…保つ……力?」
「そうだよ。この球体は十傑の魔力が込められている……そうだよね?柊当主様…」
「ぐっ…」
十傑の魔力が込められた球体。
取られちゃったらどうなるの!?
「悠人……悠人の目的は何っ!? 世界征服でもしようってゆうの?」
「……いや、目的は征服じゃないよ。禍罪の者の目的は………この腐った世界を、もう一度創り直すのさ!」
ハハハハと両手を天へ上げて笑う悠人に誰もが恐怖を覚えた。
「本気か。この世界を創り直すなど、お前達に出来る訳がない」
「……んー、そうかもね。ただ、この世界には存在してはいけない者、イレギュラーな存在がいる。そいつらが居る限りは平和にもならないだろうね…」
…え?
なんで悠人さん、悠真を見るの…。
「…フフッ。あんまり喋り過ぎると怒られちゃうからね…ここら辺で失礼しようか…ーーーーーー…」
突如、飛んできた炎が悠人に直撃した。
爆発の煙に包まれ、悠人の姿が見えなくなる。その隙に攻撃した人物が姿を現わす。
「あ、龍王さん! 時雨さん!」
「…遅くなりました」
目の前には龍王と時雨の姿があった。
駆け付けた龍王の目に写る、惨劇に顔を歪ませる。
「フフフ……流石は龍王。No.3が居なければ危なかったかもしれないなぁ」
「な、防がれた!」
声がする方へと目を向けると、悠人の他にもう一人紅いローブを身に纏う人物が立っていた。
「ほら、この学園には戻って来れなくなるから。お別れの挨拶でもすれば?」
「…………」
促されて紅いローブの者は一歩、前へ出る。
そしてフードに手を掛けフードを取った。
「……え……?…」
「な、嘘…だろっ!」
視線の先には紅いローブを身に纏う、涼の姿があった。学園で過ごした涼とはどこか違う、冷たい瞳で見据えていた。




