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最強の魔法使い  作者: みか
一章 日常編
10/106

侵入者


「………誰だ?」


黒髪の生徒は表情を変えずにそう言った。


「俺は1ーC神崎 悠真だ。単刀直入に言う……俺と勝負しろ」


両者が睨み合う。少しの沈黙が流れた後、この沈黙は突如破られた。


「……Cクラスでは十秒持たない。それとも死にたいなら構わないが、そうでないなら他の者に頼めば良い」


そう言って黒髪の生徒は黒曜 秋葉にプリントを渡し職員室を出ていこうとする。が、悠真もそう簡単には諦めない。


「………俺が柊家の者だとしても…か?」


悠真の言葉に黒髪の生徒は立ち止まり振り返る。その瞳には憎しみが込められているようだ。だが悠真は臆しない。


「…柊家だと…………分かった、勝負しよう」


そう黒髪の生徒が言った時、悠真はニヤリと微笑んだ。これで決まりという時に思わぬ邪魔が入った。


「おい、私の目の前で何を勝手に進めてるんだ」


悠真は熱くなるあまり、ここが職員室だという事を忘れていた。


「……姉さん。柊家の者を潰せるチャンスなんだ…ここは黒曜家当主である俺の意思を尊重して欲しい」


「……………ハァ…分かったが、私も監督として怪我をしないか見ておくぞ。分かったら放課後、第三グラウンドに集合!あそこなら人が居ないからな」


勝負は放課後に決まった。決まると黒髪の生徒は一礼して職員室を出て行った。


「…本当にやるのか?むちゃくちゃだぞ」


まるで諦めて欲しいというような表情で悠真に言う。だが早々訪れたAクラス、黒曜当主との勝負だ。簡単に諦められない筈だ。


「俺はやる……」


「…やっぱり言ってもダメか。私が監督だからな、危なくなったら止めるが…死ぬなよ」


悠真は黒曜 秋葉の言葉を聞きながら職員室を出た。正直、このまま授業に出る気分ではないが朱里がうるさそうという理由で出る事にした。


教室に入ると何やら教室内が騒がしい。と、悠真に気付いた朱里が血相を変えて来る。黒曜当主との勝負がバレたかと思いヒヤヒヤしたがどうやら違うようだ。


「悠真大変!学園内に侵入者だよ。さっき先生が来て…私達はここで待機だって」


「……侵入者…か」


(……まさかな)


結局、安全の為に悠真達は午前中ずっと教室の中で過ごしていた。まだ侵入者は捕まっていないようだ。悠真は段々と嫌な予感がしてくる。


「お、おい!どうやら侵入者が捕まったらしいぞ!」


いつの間にか教室を抜け出していた数人の生徒が息を切らして駆け込んできた。すると悠真の時と同じように雪崩のように押し寄せた。


「捕まるのが遅かったけど魔法使いだったの?」


「どんな奴だった?」


「ちょ、待って!ね、ねぇ神崎君」


かき分けながらこちらへ来る一人の生徒。悠真は無視し、窓の外の大空を見ていた。だが次の一言でそんな余裕は無くなる。


「あの侵入者・・・とはどんな関係?」


ピタッ


あんなに騒がしかった教室内が一瞬、静かになった。まさかと思った悠真だが嫌な予感が当たり頭を抱えた。


「え?え?侵入者と神崎君、関係あるの?」


「おい神崎、どういう事だ」


「さすがっス兄貴!侵入者まで味方に付けていたとは。惚れ直しましたっ」


悠真は再び質問攻めされた。皐月に関しては殴りたくなったが止めておいた。


(…あのクソじじい)


悠真の中では犯人が分かっているらしく、呆れていた。そんな姿を遠くから見ていた朱里と涼。


「…侵入者と悠真との関係か」


「何だろうね?知り合いかも」


(………悠真、人気者だなぁ)


人に囲まれる悠真を見ていると何か胸がムカムカする感覚がしていた。


『…連絡します。至急、1ーCの3クラス 神崎 悠真君は職員室へ来て下さい。』


と、早速放送が掛かった。席を立つと好奇心の目が悠真に突き刺さる。が、無視し教室を出ようとすると呼び止められた。振り返ると朱里が立っていた。


「あの…悠真、私も行っていいかな?」


モジモジとまるで告白するように朱里は言う。


「ダメだ。放送で呼び出されたのは俺一人、だからお前には関係の無い事だ」


そうハッキリと言い切り教室を出た。向かったのは職員室。中に入ると悠真の予感は当たっていた事が分かった。




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