決着
制限時間は残り一時間を切っている……。
勝者は各グループ一人。それ以外は全員死ぬ………。
果たして、敗北した者は、冷静にいられるのだろうか?もし、暴れたりしたら、奴等は容赦無くその人間を殺すだろう。
そうなったとき、俺はその人達を救うことが出来るだろうか。いや、そんな人間よりも、千里を護ることが先決だ。
手札は二枚。ジョーカーとハートの9。これは危機的状況である。
俺が一番初めにクリア……つまりは上がってしまいそうなのだ。
次、千里からカードを引く。もしこれがハートの9で揃えば、俺が最初に終える。
つまり、俺は千里からハートの9以外を引く必要がある。でなければ、俺は一抜けしてしまい、千里は助からない。それだけは免なければいけない。千里は俺の命に代えても護る。それ程の存在なのだ…俺にとって千里は。
続々と手札残り一枚の者が現れた。皆、もう目の前にある見えない死に怯えている。
びくびくびくびくびくびくびく
運動もしていないのに、手には汗を、唇はかさかさ。動悸が激しい。
俺はちらと千里の手札を見た。
残り二枚。行ける……これなら、この方法なら……千里は助かる。いける。
隣の男が俺の肩をとんとんと叩いた。早く千里の手札を引け、と催促しているのだ。
鬱陶しい……。
俺は男をぎっと一瞥し、千里の手札に手を伸ばした。ぶるぶると震える。
落ち着け落ち着け。引いたカードがたまたまハートの9なんてこと、かなり低い確率ではないか。何を怯える?
「ふーっ。ふーっ」
心臓が早鐘を打つので、呼吸が荒くなる。精神は落ち着けと言っても、体は正直に反応する。
歯を食い縛ってカードに手を触れた。
そして一思い(ひとおもい)に引く。
「がっ?!」
いや、いやいやいや、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て、待てぇえええええ!!有り得ない……ふざけるな!
何で、もう一枚ジ、ジョーカーが……………?