お城の出来事 絶望の魔女の命令
《ミリア視点》
「お帰りなさいませセナ様、ミリア様」
そう言ってきたのはお父様の側近であるレイドさん。家から出たことのない私に色々なことを教えてもらったの…もう1人の父ね~。
「あぁ、ただいま」
「レイドさん、ただいま!」
そう言って近づいた私にレイドさんは笑った。この笑顔が私は好きなの!
「ミリア様、初めての外はどうでしたか?」
「レイドさんが言っていた通り、たくさんの人がいて賑やかだったの!楽しかった~」
「それは良かったですね…ミリア様、リドレスが書斎に来てほしいとの事です」
お父様が?…もしかして明日のことかしら?
「明日のことかもしれないね、行って来なさい」
「うん、行って来るね!」
《セナ視点》
「うん、行って来るね!」
そう言って元気よく歩いていった愛しき妹…かわいい。
あの子の初めての外は少し邪魔が入ったけど…楽しめたようでよかった。
《ミリア視点》
お父様の話とは何かしら?そう思ってお父様の書斎の扉を見ているけども…
「ミリア、そこに立っていないで入ってきなさい」
…お父様、気づいていたのね。
「失礼します」
扉を開けるとお父様が笑顔で迎えてくれた。
「外は楽しかったかい?」
「はい!」
「そうかそうか」
そう言って笑顔になるお父様…外見はただの青年にしか見えないけど…結構年いっているのにね~。
時と場所を変わって、今私がいるのはなんとお城!私の目の前には王様が!!
「君がリドの2番目の娘か~リナに似たんだね、よかった」
ちなみにこの謁見は非公式なので堅苦しい態度はとらなくても良いらしいです。
「よかった、とは何だロイ!」
「そのままの意味だよ」
さすが親友兼幼馴染同士…仲がいい~
「リドに似たら大変なことになってしまうよ」
「おい……まあいい、お前に話した通り私の2番目の娘ミリアリスだ」
私は緊張したままお辞儀をしたらなぜか陛下に笑われた…なんで?
「はは…ごめんね?緊張しているところが昔のリドにそっくりすぎてつい!」
「おい…」
笑っている陛下に睨むお父様…どうすればいいのかしら?声を掛ければいいのかしら?
「あ、あの…」
「おっと、すまない」
「すまないミリア」
やっと終わった…。
家に帰ったら玄関にお姉様がいた。
「あらミリア、お帰りなさい」
「ただいま~、お姉様も今帰ってきたの?」
「ええ」
なるほど、お姉様もか~。高等部は結構遅くに終わるのよね。
「お城は楽しかった?」
「うん!」
そう、と言って微笑むお姉様…しかし忘れてはいない、お姉様もシスコンだということを…。
今日は楽しかったな~
《ナイ視点》
ミリアは外の世界を楽しんでいるみたいだね。
(聞こえるかしら)
…この声は…
(ネイ?)
(そうよ)
ネイは私と同じ魔女…人々を意図も簡単に殺せることから絶望の魔女と言われているの。結構優しいと思うのだけど…これも時の流れね。
(突然…何かあったの?)
(…そろそろ貴方に頼んでいた事をしてほしいのよ)
(え、また行き成り…)
ネイ…さすがに早すぎるよ~…なんて言えない。怒ると怖いからね~
(でも私、契約したんだよ?)
(ええもちろん知っているわ、貴方が契約をした娘と行って来なさい)
えぇぇぇぇぇ!!!!!!
(…ミリアにはどう話せばいいの…)
(自分で考えなさい)
うぅ…ひどい
(今こちらは色々忙しいから、また落ち着いたら連絡するわ)
そういえば何か雑音が聞こえるけど…
(ネイ、今どこにいるの?)
(魔界城よ)
へぇ…えぇぇぇぇ!
(また破壊神が暴れているの!?)
(えぇ、まぁ…そうなるでしょうね)
何か曖昧…
(…お…い…ナ…じめ…てるな!)
ん?雑音かな~?
(うるさいわね、少し弄っただけでしょう…あぁ、ナイ、よろしく)
あ、切れた。何をいじったんだろう…まぁ、ネイの事だしね。最近あの破壊神が妃を娶ったって言っていたからその子に何かしたのだろうけど…私には関係ないわね。
問題は一つ。このことをミリアにどう説明すればいいのか…はぁ、先が見えない。
誤字・脱字がありましたらお知らせください。