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*2人きりの……?

 次の朝──起きると彼は変わらず朝食を作っていた。ソフィアは内心、ほっとする。

「おはよう」

「あっ、おはよう」

 複雑な笑顔で返すと彼は小さく笑った。

「……」

 ただの会話だと思われたのかしら……何も変わらない彼に少し眉をひそめた。

 良かったような悪かったような。と首をかしげながらリビングのソファに腰掛けてテレビを付けた。

「!」

 そんな彼女の前に置かれるオレンジジュースと数十枚のA4の紙。

「……これは?」

「武器の一覧。とりあえずハンドガンを一通りザッとでいい、覚えるように」

 言われて、持っていたコップを落としそうになった。

「こんなに……?」


 朝食を終えて、部屋に戻りリストを眺める。画像付きで解説されているが、どれもそんなに違いは無いように見える。

「リボルバーとオートマチックの違いは解るよ。うん、見た目が全然、違うもの」

 真ん中にレンコンみたいな丸いものがついてるのがリボルバー、父さんも護身用に持ってた。

「……」

 ハンドガンによってカートリッジも違ったりするんだぁ~。などと見比べながらゴロンと仰向けになる。

「頭痛くなってきた……」

 気分直しに雑誌を開こうとベッドの横にあるデスクに手を伸ばした。

「あれ……?」

 デスクの上に置いてあった雑誌が無い。

「変ね……あ」

 よく見ると、雑誌は棚にきちんと収められていた。

「あたし直したっけ?」

 記憶に無い。

「ハッ!? もしかしてっ」

 慌てて部屋を飛び出し階段を駆け下りる。

「ベリル!」

「ん?」

「あたしの部屋に入った!?」

 昼食の準備をしている彼に声を張り上げて問いかけた。

「? 掃除をするためには入らねば」

「!?」

 掃除!? そういえばずっと部屋が綺麗だったわ! あたし掃除してないのに!

「これからはあたしが掃除するから!」

「別に構わんが……」

「あたしの許可無く入っちゃだめ!」

「? そう言うなら」

 なんで今まで気がつかなかったのあたし……頭を抱えて部屋に戻る。そして、うなだれるようにベッドに転がった。

 彼女はある程度、自由にさせてもらっていた。雑誌も自分で購入したもので、彼が『研修生』という名目で彼女に給与というお小遣いを与えている。

「……あたし、ベリルさんの子どもみたいになってるわね」

 ここでようやく自分がただの居候になっている事に気がついた。

「あたし、魅力ないのかなぁ」

 まだ18歳だけど、この気持ちは本気だもん……天井を見上げて瞳を潤ませる。

「61歳……年の差43……」

 親と子とかいう年の差じゃないわよねすでに……考えて生ぬるい笑みが浮かぶ。

「見た目は25歳なんだから年の差は7つよ!」

 ガバッ! と起き上がり、なんとなく言い訳じみた言葉を発した。

「てかヤバイ。炊事に洗濯に掃除してもらってるじゃない」

 なんか一つくらいやらなきゃタダ飯食いだわ。と、なんとなく落ち込む。

「ああん! どっか一つくらいダメなとこ無いの!?」

 全部出来ちゃうなんて反則よ! ──瞬間、ハッと思い出す。

「出来ないとこ……恋愛?」

 そんなのって無いよね。こうべを垂れて自分の手を見つめた。

「こんなんじゃダメダメ! 早く覚えて褒めてもらお」

 首を振って再びリストに目を通す。


「ソフィア」

「! 何?」

 夕食が終りリビングでくつろいでいると突然、呼ばれた。彼はグラスを2つ持って右斜めのソファに腰を落とし、話を続ける。

「オーストラリアは初めてか」

「え? うん」

 聞いた彼はブランデーの入れられたグラスを傾け、その言葉に少し考える。

「?」

 首をかしげて見つめていると、彼がおもむろに口を開く。

「旅行でもするか」

「えっ!?」

 いきなりの提案に目を丸くした。

「研修旅行という形ではあるが、ついでに観光するのも良いだろう」

「旅行……」

 ベリルさんと……? 呆然とした。

「明後日に出発だ」

「はやっ!?」

「早いか?」

「いや決断が!」

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