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*衝撃の新事実

「初めまして、ダグラス・リンデンローブ・セシエル」

「あ、ソフィア・ジェラルドです」

 差し出された手に素直に応える。ダグラスと名乗った青年は、輝くような笑顔を向けた。

 先にベリルさんを見て無かったら、彼に惹かれていたかも……などと考える。背中までのシルヴァブロンドの髪を1つに束ね、大きめの赤茶色の瞳は年下の彼女から見ても可愛く思えた。

 背はベリルさんよりも高くて、26歳だと言ってたけど……そういえばベリルさんて何歳なんだろう? と、ふと考える。

「あの……」

「なに?」

 出発の準備を続けているベリルから視線を外し、キッチンで牛乳を飲んでいる青年に問いかけた。

「ベリルさんって何歳?」

「あ~見た目は25だけど……」

 微妙な言い方をした青年に怪訝な表情を浮かべた。

「そうですか」

 つぶやくように発してベリルに視線を移した彼女に、青年が薄笑いを浮かべた事を知るよしもない。

「ベリルの弟子になりたいの?」

「えっ、うん」

 突然、訊かれ慌てて振り返る。

「俺は6年前にベリルの弟子だったけど、手加減してくれないよ」

「! そうなんですか?」

 この人、ベリルさんの弟子だったんだ……笑顔を向ける青年を見つめた。そしてハタ……と気づく。

「……6年前?」

 ちょっと待って。いま確かベリルさんは25歳って……6年前だと19歳ってコトになるわよ。いや、その前にこの人の方が1つ年上よね? 同じくらいの人の弟子……? そりゃ無いコトもないだろうけど。

「5年間ベリルの弟子だったよ」

「へえ……」

 ……って、ちょっと待って!? 6年前に弟子で5年間? 逆算するとベリルさんは彼を弟子にした時は14歳になるんですけど!?

「プッ……クックックックッ……」

「ダグ、からかうな」

 頭の中がハテナで一杯になっている彼女を見てベリルが眉をひそめた。

「言ってなかったの?」

 まだ笑いが収まらない青年は、お腹を抱えてベリルに目を向けると彼は少し視線を泳がせる。

「言うタイミング逃した?」

「?」

 ダグラスはまだ意味の解らない彼女に向き直り衝撃的な言葉を投げた。

「言っても信じられないだろうけど、ベリルは不死なんだ」

「……は?」

「プッ……」

 予想していた通りの反応に青年はまた吹き出した。

「ベリルは見た目25だけど、実際は61歳だよ」

「……はあっ!?」

 驚いてベリルを見やると、彼は苦笑いを浮かべている。

「嘘じゃなくて!?」


 まだ信じられないといった顔の彼女に、ダグラスは喉の奥から絞り出したような笑いをこぼす。

「この子、弟子にするの?」

「まだ決めていない」

「!」

 不安げな表情を浮かべた彼女にグラスは小さく笑って声を低くする。

「情けでは弟子に出来ないからね。その辺は覚悟しといた方がいいよ」

「! あなたに言われなくたって……」

 睨みを利かせた彼女からベリルに目を移す。

「俺の荷物はもう荷台に乗せてあるから」

 言って、外に親指を差すとベリルは無言で頷き、立ち上がった。

「! あなたも行くの?」

「うん、ベリルがリーダーって聞いてね。どうせなら作戦会議がてら一緒に行こうってなったの」


 そうして3人は残った食材を両隣の人に譲り車に向かう。

「!」

 ソフィアは初めて家の表札に目を向けると、そこには『ベリル・レジデント』ではなく『スロウン・レイモンド』と表記されていた。

 オレンジレッドのピックアップトラックがゆっくり住宅街がら離れる。

「……でさ、ちょっと調べたんだけど、さすがは第5の都市だけあって奴が身を隠す場所にしたのは正解だね」

 後部座席から地図を開いてダグラスが発するとベリルは小さく溜息をついた。

「そうか」

「大体の潜伏地域は解ってるみたいだから、ブカラマンガの警察と連携をとって捕獲しないとだね」

「……」

 ソフィアは2人の会話を聞きながら先日、彼から渡された地図を見つめる。路地裏の建物まできっちり覚えろと言われたため彼女は必死だ。

 記憶力には多少の自信はあるものの、出来るだけ完璧に覚えなければならない事に焦りの色は隠せない。

「街の一角を締め切ることは出来ないんだよね?」

「市長が許してはくれなかったよ」

 厄介だなぁ……青年は頭をポリポリとかいた。

「んで、こっちは何人?」

「およそ20。あとは警察に任せる」

 締め切る事は拒否されたが、一定間隔で警察が立つ事は了承してくれた。

「リリパットは何人?」

「10人」

「! リリパット?」

 聞き慣れない言葉に彼女は首をかしげる。

「リリパットってのは、俺たちの間での言葉で義賊を意味してるんだ。盗賊はナイトウォーカーって呼んでる」

 ダグラスが説明し作戦会議が続けられた。

「配置は?」

「奴が潜んでいる確立の高い建物を中心に2重に囲む」

「!」

 その言葉に彼女は再び顔を上げる。

 捕まえる人がいそうな建物とかまでもう決めてるんだ……と、ベリルの横顔を見つめた。

「まだ大体だよ」

 彼女の考えを察しダグラスが付け加える。

「現地に到着して、またいくつか修正かけるから」

「へえ……」

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