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私の国  作者: 小林 陽太
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私の日常

住んでる家、妻、仕事、周りの人々について。

ここでは私の日常を紹介する。


私の自宅は太陽の近くにあって、そこは真っ白なカイトが青い空に瞬く様にして大きな屋根となり、中にはらせん階段と大きな鏡が目立ち、白い布のようなものが天上から幾つもぶら下がっている。壁の色は全て白で、二階にある私の書斎だけはログハウスの様な木目調に今はしてある。最近は木のぬくもりが恋しいので、そのようにしてある。

私が食事を取ることはほぼ無いので台所というものは存在しないが、初めてお客さんが来られたときは、豪勢な料理を用意することもある。用意するといってもこの世界では念じただけで出来上がるのだから、全く苦労は要さない。それに私の本分は、芸術家でもあるため、そのような豪華なディナーなどを創りだすことは容易い。

それで風呂場は二つある。何故か判らないが二つある。何故なんだろうか?


私はこの家に基本的に一人で住んでいる。妻なるものは居るのだが、芸術家の妻は忙しく彼女も自分の本業を行うために家で二人でずっと一緒に居ることはあまりない。どちらかというと彼女は妻というよりも絆で結ばれた親友のような感覚に近く、彼女と出会った頃は私に自前の曲を奏でて楽しませてくれたが、今ではただ睦言を語り合う関係に近い。

語り合うと言っても、殆どお互いに喋ることはない。二人で一緒にいるだけで、阿吽の呼吸で分かち合って会話している感じである。妻は私が他の女性と親しげにしていると妬いてしまい困らせたことも昔はあったが、今ではそんなことも無い。しかし私からすれば妻は色んな男性と交流しているので妬いてもいいのだろうが、私は特別そういう気持ちを抱いたことが無かったのは私が男性だったからかもしれない。いや私もきっと妬いたことがある。忘れているだけだったのだろう。だがとにかく今の私たちは、男性とか女性とかそういう枠組みの中に納まることの無い、性別を乗り越えた自由な関係だと信じている。


私の日課は自然を芸術的に研究することで、基本的に通常時でもお祈りの意識状態で活動している。学問の練磨に関してはそれなりに行って来て、私の今の道は祈祷の力の練磨であることが多い。また私はときに学問の道を歩んでこられる方々には何かヒントなるものを与える役に徹している。私の友人には科学者も居るのだが、私は基本的に芸術の視点から、それらを与えるお手伝いをさせていただいている。使命は、芸術の道を振興させてゆくことであり、祈祷をする聖職者一端でありながらも、芸術家としての活動をおざなりにするわけにはいかない。

本格的に祈祷をするときは、書斎兼祈祷の部屋である私の部屋にて入神し、ただ私は無になって、夢想無念でお祈りを捧げる。地上には、御真言やら祝詞やらいろんな方法があるようだが、私はそういう形にこだわった祈祷を行っていない。ただ純粋に“救済のため”にお祈りを行う。私の先輩たちは、お祈りを通して私の内とも外つかぬ目前に現れることもあり、彼らは皆立派な聖職者である。彼らは主に救済の道を歩く者であり、現場に降りて行って、地獄と呼ばれる世界に飛び込んで幾多の人々の救護にあたっている。私は半端者なので彼ら先輩たちの様な仕事をするには力量不足で出来かねている。何度か現場へ出たこともあるけれども、私にはまだそれがやっぱり上手に出来かねる。それはとても難しい仕事だからだ。


家から出かけて、私は空を飛び、眼下に広がる街へ出ることもある。そこではみんな幸せそうに暮らしていて、楽しそうである。私は芸術を通して彼らと触れ合う。何か新しいものを作ってはそれを持って行って、発表してもらいまた家に帰ってくる。私もいろいろとそこではお腹いっぱいになるほど御馳走してもらったりして帰ってくることも多い。


…さて、今日も仕事だ。何かをするには研究が欠かせないのである。

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