美少女ゲーマーもいろいろおかしい
学校一の美少女、藍染春香に図書室に呼び出された主人公は、ナイフの入手方法を聞かれた
俺は学校一の美少女、藍染春香に図書室でナイフの入手方法を相談された。
「な、ナイフぅ?」
思わず声が出た。
周囲の生徒達が一斉に何事かとこちらを見る。
俺は慌てて声を潜めた。
「ナイフって‥一体、何に使うんだ?」
藍染は俺の様子に、誤解された事に気が付いたらしい。
「あ、そうじゃなくて‥“聖者のナイフ”!」
「ん‥“ファンタズム・ワールド”の?」
「そうそう。今の期間限定ボス倒すのに必要でしょ?」
「藍染、“ファンタズム・ワールド”、やるの?」
ファンタズム・ワールドは今人気のオンライン オープンワールドRPG。
4頭身アニメ調の可愛い見た目のキャラクターと、それに反する本格的なやり込み要素を併せ持つ。
スマートフォンや家庭用ゲーム機、パソコンでもアカウント共通でプレイできるので、プレイヤー層も老若男女幅広い。
今、俺が最もハマっているゲームもこの、ファンタズム・ワールドだった。
「私だってゲーム位するよ‥須藤君にはかなわないけど‥」
藍染はちょっと不満そうに頬を膨らます。
普段のお硬いイメージと違った、女の子らしい仕草だった。
「ご、ごめん‥でもなぜ俺に?」
「須藤君、今回のイベントボス、もう攻略したって‥」
「あ〜、なるほど‥」
恐らく、宏辺りから漏れたんだろう。
別に、隠している訳じゃないけど。
「凄いよね、まだランキング、100人位しか居ないのに‥」
「結構頑張ったから‥って、ごめん、聖者のナイフ、だったよね」
「うんうん」
藍染はコクコクと頷いた。
「あれを鍛冶屋で作ってもらうには、“祝福された鉱石”が100個必要なのは知ってる?」
「何となくは‥でもそれ本当なの? 祝福された鉱石だってレアリティS++だったような‥」
「そう。ただ場所と時間によって少し採掘確率が上下するんだ」
「そうなの? てっきりランダムアイテムかと‥」
元々ごくまれにしか手に入らないアイテムなので、多少確率が上下しても気が付かないのだ。
「あと、大事なのが採掘のスキルパラメーターで発見確率が上ること」
「採掘にスキルパラメーターなんてあるの? 本当に?」
藍染は驚いた顔をした。
実はここがファンタズム・ワールドの凄まじい所で、あらゆる物にスキルパラメーターが存在している。
例えば、初期装備のナイフですら、時間を掛けて何度も使っているとプレイヤーのスキルが上昇し、上位の武器に劣らない威力を発揮するようになる。
これは敵のモンスターに対しても同様で、同じ種類の敵を何度も倒していると、より大きなダメージが与えられるように成る。
強力なエリアボスですらこのルールは適応されていて、実際、何度も挑戦すればプレイヤー自身の上達とあいまって段々と倒せるようになってくる。
しかもその値はプレイヤーには不可視なので、どんな物にスキルが設定されているかは実際試して確認するしか無かった。
「でも、“祝福された鉱石”が取れる所って、どこも危険地帯で‥」
「そうだけど、採掘のスキル自体はどの鉱石でも共通だから‥」
「! そうか、安全な場所でスキルを目一杯上げてから取りに行けば‥」
「そうそう、初期状態よりかなり確率上がるよ」
「な、なるほど‥それなら村から近い鉱山で‥」
早速、藍染は自分なりの攻略を考え始めたらしい。
頬に手を当ててしきりに頷く。
俺も好きなゲームの話を出来て楽しかった。
「あのね‥」
と、藍染がもじもじとしながら話す。
「どした?」
「他にも色々教えて貰いたいことあって‥」
「おお、もちろん、分かることなら教えるよ」
「それが、今日はちょっと時間なくて‥」
「後日が良いの?」
「うん、いい?」
「全然、構わないけど」
「わ、ありがと! それじゃ、予定とか決めるのに、“メッセージ”のID交換しておこうよ」
「え、俺と?」
「そうだけど??」
藍染はキョトン、とした顔をした。
「俺とかとID交換して大丈夫? 親に怒られたり‥」
「し、しないよ、そんな事」
今度は凄く楽しそうに笑った。
「なら良いけど‥」
「もう‥須藤君、私の事かなり誤解してると思うな」
軽く拗ねてみせた。
藍染ってこんなに表情豊かだったのか。
何というか‥こんなに‥可愛い?
まぁ、可愛いのは知ってたけれども。
親しみやすいと言うか‥いやいや、高嶺の花だし。
スマホ同士を軽くタッチさせてIDを交換する。
互いのスマホが触れた瞬間、藍染は嬉しそうに小さく身体を揺らした。
とりあえずこれで、お互いに好きな時にメッセージが送れる訳だ。
と言っても迷惑は掛けないように時間と頻度は考えないと。
「それじゃ、行くね。また!」
傍らの鞄を持つと、藍染は急ぎ足で図書室を出て行った。
俺は少し呆然と今の事を思い返していた。
人間、生きてればいい事もあるもんだなぁ。
つくづくそう思った。
”ピロン!”
手に持ったスマホで着信音が鳴った。
見ると、さっきIDを交換したばかりの藍染からだった。
『今日はありがと。凄く助かったよー』
笑顔のアイコン付き。
よほど嬉しかったのかな‥。
『どういたしま‥
返信を入力しかけた時。
“ピロン!”
あれまたメッセージ?
『ナイフを手に入れたらすぐにボス倒しちゃう!』
今度はガッツポーズのアイコンが二つ。
うーん、気合入ってるな‥。
『頑張っ
“ピロン”
うわ、また?
『何と言ってもウチのピョンちゃんは無敵だからね!すぐに須藤君に追いつくから待っててね!』
今度はウサギのアイコン✕5
こ、これは‥。
『そうそう、ぜひウチのピョンちゃん見てもらいたいな!可愛いんだよ! あ、でも惚れちゃ駄目だよ! なんてね!』
藍染ってもしかして止まらない系ゲーマー女子だったのか??
凄い勢いで次々メッセージが届く。
俺は途中で返信するのを諦めていた。
20通目にしてようやくメッセージは落ち着いた。
最後のメッセージには‥
『どうせなら今度の土曜日にウチに遊びに来なよ! 結構性能の良いゲーミングパソコンもあるよ! 一緒に“ファンタズム・ワールド”やろ! あ、お父さんお母さんと一緒にご飯も食べようよ!』
とんでもない事が書いてあった。
モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。
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