2010年 7月4日
気が向いた時にのんびりと書きたいと思ってます。
短編連載予定です。
いつから崩壊が始まってたのだろう……。
いつからこの家は冷めきってたのだろう……。
私の家族はどこかおかしかったのだ。
祖父が一代で財を築き、祖母は祖父の財で天狗になり貴金属、高級な着物やらを買いあさり……。
婿養子で結婚した父は気が強い祖母に当たり強くされ、心が病んでいき引きこもりからの家出の蒸発。
母は祖母と昔から仲が悪かったのか、私が物心ついてた時には家が壊れるんじゃないかと思うくらいの大喧嘩を週3で繰り返してた。
成金思考で傲慢な祖母、鬱病で蒸発をした父、いつも大喧嘩しては飲みに行く母。
唯一空気だった祖父は海外での仕事が多く家庭の事は祖母に任せきりで状況がわからぬまま楽しそうに仕事をして、現地で遊び暮らしていた。
その頃私は16歳の高校1年生……。家に居場所がない、学校終わりは家に帰るのが億劫だった。
学校は凄く楽しかった。めんどくさい親と祖母がいないし学校では自由に話して自由に好きな事が出来る。家は誰かが機嫌悪いと発言すら許されず、無言で包丁を投げられた日は死を覚悟した。殺されるかもしれない、逆に私が我慢の限界で殺すかもしれない。そんな殺伐とした思考が巡るし殺すシュミレーションまでしてた。だが、実際寝てるところを何度も殺そうと試みたけどいざ獲物を目の前にすると私は怖くなって後退りをしてしまう。
そう……私はやられっぱなしの弱く臆病な人間なんだ。こんな無力の私はなぜこいつ等のご機嫌を伺って生活をしなくちゃいけなのか、なぜ私は苦しい思いをしてまで一緒にいなくちゃいけないのか。
長らく抱え込んでた大きな爆弾が今沸々と湧き上がってる。
あぁ――。
私はこの家に要らない存在なんだ。
そう思った瞬間抱え込んでた爆弾が弾け飛び、私は衝動を抑えきれなくなり自分の部屋の目に付くものから壊してった。
幼稚園の時に作った紙粘土のペン立て。
小1の時に作った母の日の似顔絵。
小2の時に作った木の貯金箱、これは祖父と作ったいい思い出。
小3の時に作った謎の小さな建造物。
小4の時に作った自作の時計。
小5の時に作ったフェルトのぬいぐるみ。
小6の時に作った可愛らしいエプロン。
中1の時に部活の大会で貰った賞状。
中2の時に友達とふざけ半分で作ったラジコン。
中3の時の最後の大会でうれし泣きしてる私の写真。
これ全部、家族が褒めてくれてた私の思い出達。
何もかも無くなればいい、思い出を飾れば家族はまた仲良くなれるかなと思ったけど無駄だったみたいね。褒めてくれたのも本音なのか建前なのかすら分からなくなった私は思い出を次々と壊して投げて破いて……。最後には内緒にしてたタバコを口に咥え転がってきたマッチで火を付けた。壊れかけた椅子に座りぼーっと部屋を眺める。揺らめく煙の向こうがは何とも滑稽な姿だ。部屋に散らばったモノはまるで私の心を表してる……。破壊しても収まらない心の痛みと苦しみは何で埋めればいいのかわからなくてただ、ただ涙を流すことしか出来なかった。義務教育で埋め方を教えてくれよと心底思った。
昔はみんな大好きだったのに祖父が海外へ行ってから家族は変わってしまった。かつての笑い合う家族は暗い闇の底へと消えて、今は憎しみ合うだけの存在。憎しみで生活をする家族は次第に顔付が変わりまるで血に飢えてる鬼へと見えてくる。私もきっと家ではそんな顔なんだなと思うと反吐が出る……。こいつ等と同じことをしたくない私は着替えて大きめの鞄に適当に下着と服を詰め、メイクを濃いめにして家を出た。
この家に未練なんてない、私が居なくなったところで誰も心配はしないだろう。心残りなのは学校の友達ともしかしたら2度と会えなくなる……そう考えると少しだけ未練が残った。複雑な気持ちを抱えたまま門を潜る。
さよなら、私の思い出。
さよなら、昔の私。
そう、呟いて私は家を飛び出た。
16歳、高校1年生の7月4日。
私は家出をした。




