表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

第8話 それぞれの出来る事

 新しくマシャットさんとエリナが仲間に加わった。マシャットさんは基本がしっかり出来上がっていて、すぐに俺とクルーサと同じ段階の訓練を始める、と思っていたがどうやらそうは上手くいかない。

 彼持ち前の不器用さは二つのことを同時にできないと言う所から来ていた。

 魔法を『避ける』だけに集中すれば大丈夫なのだが、魔法を『避ける』に距離を『詰める』と言う動作を加えると途端にステップがグチャグチャになり、秒殺されていた。


「マシャットさんは簡単な事を二つ同時にできるようになるところから始めましょう」

「ごめんね、迷惑かけちゃって」


 エリナは回復術士ヒーラーだから戦闘と言うよりも魔法の質を高めることに重点を置いた、そこは俺よりもバイストン先生の方が詳しいので任せる。


「彼女は才能があるよ、なんで君たちと一緒に居るのか不思議な程ね……回復術士としての腕なら白銀組シルバークラスは行けるね」

「なら黄金組ゴールドクラスまで伸ばせますよね?」

「君って意外と先生に無茶させるよね、三人連続で相手させたり、その上逃げろって言ったり……雑務より疲労多いよ?」

「嫌ですか?」

「安心して楽しさは段違いだよ、私も教師だから、生徒の成長を見るのは気持ちいい」

「ありがとうございます」

「それよりも、マシャットくんの事だけど」

「何か問題でも?」

「問題はあるけど、それよりも彼は多分魔導師向きだね、さっき試しに魔力を練らせて見たんだけど、彼飲み込みが早いのなんの、むしろずっと魔法の練習をしてる部類だよ。それに魔穴も人より多いし太い、普段から魔力ダダ漏れ、きっと良い指導者に恵まれなかったんだね」


 まさかマシャットさんに魔導師の才能があったとは。確かに良く考えれば俺は魔導師科の授業しか見学してないのにマシャットさんとは殆ど同じ授業を見学してた。戦士科に居るから魔法は苦手だと思っていたけど、ロンディやセシリアの例もあるしマシャットさんには魔導師に転向してもらうのもありか。


「そのことは本人には?」

「話したけど、どうしても石鎚を離せないんって、これはばかりは本人の意思だからどうしようもないけどね」

「……そうだ、いいこと思いつきました」


 そう言って俺はバイストン先生から離れてマシャットさんの方へ近づく。

 今現在は右手で石鎚を持って床を叩きながら、左手はクルーサの手のひらに丸を描くと言うトレーニングをしている。上手くできていないとクルーサが野次を飛ばす。


「どうですか?」

「どうしても時々片方の動きが止まってしまうね、だんだんコツは掴めたよ」

「じゃあ少しステップアップしましょう」

「も、もう!?」


 それは無茶だよと言うマシャットさん、だがこのパーティーの為にも魔法を武器として扱えるようになってもらわないといけない。

 すみませんマシャットさん、完全に個人の願望です。


「マシャットさんって魔法ならどの操作が得意ですか?」

「どれかって言われたら噴射かな」

「噴射……風魔法か」


どうにかマシャットさんに魔法の練習をしてもらえないか。魔法単体の練習は嫌がるかもしれないよな。


「ならこれからは壁際の人形から十歩離れて左手で魔法を出す、もちろん当てる気で、右手はこの先の部分が石じゃなくて柔らかい綿入り布で作られた布鎚を振りましょう、俺かクルーサが右手側に居るので当てるつもりで振ってください」

「いきなりレベル上げすぎだと思うんだけど」

「残り十数日で黄金組と戦えるレベルにならないといけないので」

「黄金組!? それは初耳だけど、頑張るよ」


 あくまでメインは石鎚の練習と思わせ、左手の魔法はトレーニングの一環と思わせる、これでマシャットさんの訓練は効果が倍増だ、それに俺とクルーサの近距離での身のこなしの練習にもなる。


 これで俺たちの大体の役割が決まった。残り15日、後は詰め込むだけだ。


【バイストン先生の魔法講座】

 〜属性魔法編〜


 バイストンだよ、今からは属性魔法について簡単に説明するからね、興味が無いなら次made飛ばしていいよ。


 属性魔法は主に火、氷、風、土、雷があるよ。でも厳密には属性魔法という物は魔力の中にはないんだ。

 ならなぜ属性魔法なんて言うんだって?

 魔力と魔素の魔法反応の結果、この属性に似た現象が生まれるんだ。

 そしてこの現象を作り出すために、魔力操作が大切になってくる。

 魔力操作は主に熱操作、噴出操作、振動操作の三つの操作に別れる。

 熱操作は文字通り魔力の温度を操作する。魔力は基本的に周囲の温度に溶け込む、これを魔導師が熱くしたり冷たくしたりして魔穴から放出すると空気中の魔素と魔法反応を起こして燃えたり凍ったりする。魔素は魔力の影響を受けやすいんだ。利便性が高いのがこの熱操作だよ。

 次に噴出操作は魔力をあえて魔穴手前で溜めて一気に押し出したり、大量の魔力を押し出そうとする事で魔穴から出てくる魔力に勢いを作るんだ、勢いによる衝撃で魔力と魔素が結合し無色の塊になる、その塊がターゲットにぶつかる事で風が起きたと思わせるんだ、極めれば刃にでも石矢にもなるよ。殺傷力が極めて高いのがこの噴出操作だね。

 次に振動操作、魔力に波を作って放出する事で噴出操作に近いことが出来るんだ。でも振動は広がるから空気中に放っても軽く押された程度にしか感じ取れない。でも地面の中にも魔素はあって、地面によって半固定状態の魔素が魔力に揺らされると地面が隆起したり、精密な操作を行えば特定の部分だけを大木並に突き上げたりできるんだ。かなりトリッキーな操作だよ。

 そしてこの三つの操作を合わせて繰り出すのが雷の魔法なんだ。

 先生はもちろん全部得意だよ。

 お話終わり、長くなってごめんね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ