表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

君との出会い

 悠は、高校の教室で一人静かに本を読んでいた。普段から目立たない性格で、クラスメートとの関わりも少なく、唯一の楽しみは読書と勉強だった。


 その日も、放課後の静かな時間に一人、教室で本を開いていると、突然ガタッと大きな音がして、ドアが勢いよく開かれた。


「おい、どこや?」

 声が響く中、悠は顔を上げると、そこに現れたのは学校でも有名な不良、雅哉だった。目立つことを嫌っていた悠は、正直、彼に興味を持ったことはなかった。しかし、初めて目が合った瞬間、彼の鋭い眼差しに圧倒された。


「お前、何してん?」

 雅哉は悠に向かって歩み寄ると、目の前に立った。悠は慌てて本を閉じ、少し緊張しながらも答えた。

「え、えっと、本を読んでいただけですけど…?」


「へぇ、静かな奴やな。お前、クラスでは全然目立たんけど、こんなところで何してん?」

 雅哉の言葉に、悠は少し戸惑いながらも答える。

「別に…特に何かしてるわけじゃないんです。ただ、読んでたっていうか…」

 雅哉は不意に笑みを浮かべ、悠の手元にあった本を手に取った。

「『青春恋愛もの』か。可愛い趣味してるんやな、お前。」


 その言葉に悠は少しだけ顔を赤くした。

「す、すみません、好きなんです。そういうの。」


「別に謝ることじゃないやろ。俺だって、たまには本くらい読むし」

 雅哉は軽く肩をすくめて笑った。あまりにも自然に、悠の中にあった緊張感が少しずつほぐれていくのを感じた。


「じゃあ、今度一緒に図書館行こうや」

 突然、雅哉がそう言い出した。悠は驚いて目を見開いた。


「え、でも…」

「お前、そんなに本が好きなら、図書館くらい行ったことあるやろ?」

「それはもちろん…ありますけど…」

 悠は少し困ったように顔をしかめたが、雅哉の無邪気な笑顔に、なぜか心が温かくなった。


「じゃあ、行こう。俺が付き合ってやるからさ。お前、意外と面白い奴やなって思った。お前のこともっと知りたい」

 雅哉の言葉に、悠は少し驚きながらも、どこか嬉しい気持ちになった。


「…それなら、よろしくお願いします。」

 そう言って、悠は微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ