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心に蓋をしてくれたみんな。  作者: 龍  岳
【様々な女子達、それぞれの思い】
7/17

第7話 鈴の思い

「はぁ〜……」

「さっきからため息ばっかり。どうしたのよ、鈴」

「うん……私、優君に嫌われちゃったかも……」


 私は、放課後、職員室に行っていた。

 そこでの用が終わり、教室に戻った。優君と一緒に帰りたいと思って急いで戻ったんだけど……。

 教室に優君はいなくて、優君と仲のいい畑谷君に聞いたら、バイトがあるから先に帰ったと聞いた。


「また後でも言えなかったし、バイトをしている事も知らなかった……」

「まぁ、今日会ったばっかりなんだから、知らなくて当然じゃない?」

「うん……でも、優君、私と深く関わるつもりはないって……」

「そっか……まぁ、まだ初日だから。そんな気を落とさなくても大丈夫よ。これから仲を深めて行けばいいんだから」

「うん……」

「ほら、紛失届を出すよ」

「うん……」


 私達は警察署に来ていた。財布の紛失届を出すためだ。

 落とし物として届いてはいなかったので、しっかりと説明を受けて、紛失届を出した。


 ☆ ♡ ☆


 紛失届を出し終えた私達は、家──優君が一人暮らししている──に帰って来た。


「ただいま〜」

「ただいま……」


 玄関を開けると、部屋は暗かった。声も聞こえない。


「あれ? 優君、まだ帰ってきてないのかな?」


 お姉ちゃんがそう言いながらリビングへと向かう。私もその後についていく。


「あ、これ」

「ん? 何、お姉ちゃん」


 お姉ちゃんがリビングのテーブルの所で立ち止まるので、私も止まり、テーブルの上を見ると──、


『お二人の夕飯です。俺はバイトで帰りが遅くなるので、先に食べて、先に寝ていてください。洗い物は水桶の中に。洗濯物は洗濯カゴの中に入れておいてください』


 と、置き手紙と共にラップされたお皿が並んでいた。


「ハンバーグだね。すごく美味しそう♪」

「優君、料理上手……」


 お姉ちゃんは美味しそうなハンバーグを見て、ウキウキしていた。

 私はその反面、申し訳なさでいっぱいになっていた。

 お昼に色々買ってもらって、料理まで作ってもらって、洗濯までしてもらう。

 私達にできる事は何もないのかな……。


「鈴、先にご飯食べよう。その後、お風呂ね」

「うん」


 私達は優君が作ってくれたご飯を、美味しく頂いた。


 ☆ ♡ ☆


「はぁ……」


 私は今、湯船につかっている。


「優君、いつ帰って来るのかな……」


 今は夜の8:00。優君はまだ帰ってきていない。


「はぁ〜……」


 私はずっとため息ばっかりついている。


「優君……」


 私は多分、優君に嫌われた。

 大事な財布も落とすし、料理も掃除も洗濯もできない。教室ですぐに兄妹になった事もバラしてしまった。


「仲良く、なりたいんだけどな……」


 優君は多分 ”あの子” だ。ママが再婚するって聞いた時、相手側にも子供がいると聞いて写真を見せてもらった。

 その時にすぐに分かった。写真に写っているのは私がずっと探していた ”あの子” だと。


「はぁ〜……やっと会えて、仲良くなりたいと思ったのに……着替えくらい、優君になら見られてもいいのに……」


 優君は、この家での事全て、私達を優先すると言った。

 今朝のように着替えを見てしまったり、ばったり会ったりしないようにする為なのは分かる。分かるんだけど……。


「それじゃ、一緒に暮らしてるって感じがしないよ〜……それに、そういうハプニングがあれば、優君の裸だって……」


 わ、私は何を考えてるの!?

 確かに優君の裸は見たい。でも、優君を困らせたくはない。

 今朝の事を沢山謝ってくれたけど、私は嬉しかった。

 優君に私の事を見てもらえて。

 あの時、私はパンツを穿こうとしていた。なので、ブラをしてなかった。


「おっぱい、見てもらえたのかな?」


 私はおっぱいが大きい。Gカップある。

 男子からの視線は常におっぱいに集まる。

 それが私は嫌だった。でも、優君になら見てもらいたい。

 見て、触ってほしいと思う。


「はぁ〜……優君は、大きいおっぱい、好きかな……?」


 私はお湯に浮かぶおっぱいを持ち上げ、タプタプと揺らす。


「優君……優君……優君……」


 この後、お風呂が長すぎだとお姉ちゃんに怒られた。

 後、のぼせた。

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