表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心に蓋をしてくれたみんな。  作者: 龍  岳
【様々な女子達、それぞれの思い】
6/17

第6話 波乱の一日

「じゃあ、梁矢の席はあそこな」

「はい」


 鈴さんの席は廊下側の一番後ろ、生徒に二番目くらいに人気な位置にあった。

 そこに向かい座る鈴さん。チラチラとこちらを見てくるのを止めてほしい。


「はい。それではHRを始めるぞ〜」


 鈴さんが席に着いたのを確認し、先生はHRを開始した。


 ☆ ♡ ☆



 HRが終わり、先生が教室を出た瞬間に一斉に生徒が分裂した。

 女子は鈴さんの元に。男子は俺の元に。


「おい、梁矢! お前、鈴さんとどういう関係なんだ!」

「別に。大した関係じゃないよ」

「嘘をつくな〜! 大した関係じゃないなら、なぜ名字が同じなんだ!」

「梁矢なんて名字──」

「梁矢なんて珍しい名字、中々いねぇよ!」

「うるさ……」

「こうなったら、鈴さんに直接聞いてくる!」

「お〜行け行け」


 男子達は、鈴さんの方へと向かって行った。


「君が今日元気がなかった理由はこれか」

「紅」


 俺の前に、紅がやってくる。


「俺は別に何も言ってないけど?」

「梁矢なんて珍しい名字、そうそういないからね。大方、親父さんが再婚して、義理の兄妹ができたってとこかな?」


 察しがよすぎて怖いわ。


「お前に隠し事はできないか」

「まぁ、別に隠し事はあってもいいんだけどね」

「お前の言う通り、親父が再婚した。そして、二人の義理の兄妹ができた」

「ふ、二人……!? もう一人いるとは流石に予想外だな……。もう一人は別のクラスなのかな?」

「いんや。もう一人は三年生の方にいると思う。二つ年上だから」

「お姉さんか……鈴さんとは?」

「鈴さんはどうやら妹らしい」

「なるほど……優」

「んだよ」


 紅は、俺の肩に手を置いてきた。どうしたんだ? 急に。


「何かあったら、すぐに僕に言えよ? いつでも話聞くからな」

「あ、あぁ……ありがとう?」

「なんで疑問形なの。っと、鈴さん一行がご登場だよ」

「え……?」


 紅がそう言いながら、俺の側から離れていく。

 と、それと同時に、女子と男子を大勢引き連れた鈴さんが俺の元にやって来た。


「優君」

「ん?」

「ごめんね……みんなに言っちゃった……私達が兄妹になったって事……」

「まぁ、別に隠す事でもないから言ってもいいと思いますよ。俺と鈴さんは親の再婚で義理の兄妹になっただけのただの同級生。それ以下でもそれ以上でもない。ただそれだけだ」

「………………」


 少し冷たい言い方だが、俺はそう言った。

 その言葉を受け、鈴さんの表情が少し曇った気がした。まぁ、気のせいだろう。


「んじゃ」

「ど、どこに……?」


 鈴さんが声をかけてくる。


「トイレに」

「あ、うん……」


 俺がそう言うと、鈴さんは俯き半歩引いた。

 そして、俺は教室を出てトイレに向かった。


 ☆ ♡ ☆


「はぁ〜……」


 俺は今、屋上へ向かう階段を登っている。

 手にはおにぎりやパンを持って。


「まさか、あんなに色々聞かれるとは……男子からの殺意を向けられるのって、ヤバいな……」


 そう。俺はあの後、教室に戻ったら男子からは殺意を向けられ、女子達からはなんだこいつと言う目で見られた。


「まぁ、あんな冷たい態度取ればそうなるよな」


 別に拒否しようとか距離を置こうとかそういう訳では……まぁ、距離はちょっと置こうと思ってるけど。


「ってか、何食べるから分かんなかったから色々買ったら、重い……!」


 袋には飲み物も入っているので、パンパンになっててめちゃくちゃ重い!


「もう少しだ〜!」


 俺はなんとか屋上にたどり着いた。

 屋上の扉を開け、二人を探す。


「お、いたいた」


 二人は、校庭が見えるフェンスの所に立っていた。


「お待たせしました」

「あ、優君」


 湊さんが微笑みながら、振り返る。

 鈴さんも振り返るが、その顔は少し暗かった。


「色々買ってきたので、お好きなものを選んでください」

「ありがとうございます」

「ありがとう、ございます……」


 二人は俺から袋を受け取り、食べたい物を選んでいく。


「「「いただきます」」」


 俺達は昼食を取り始めた。

 その間、俺達の間に会話はなかった。


 ☆ ♡ ☆


 放課後。


「あ〜……! やっと終わった」

「お疲れ、優。ご苦労だったね」

「紅」


 俺が机に突っ伏していると、紅が声をかけてきた。


「みんなには僕から言っておくから、来週の月曜日には収まってると思うよ」

「あんがとよ。さて、行くかな」

「バイト?」

「あぁ。二人分食費が増えるんだ。頑張んないとな」

「大変だね。何か手伝える事があったらなんでも言ってね」

「あぁ。じゃあな」

「うん」


 俺は紅に別れを告げ、バイト先へと向かった。

 なんか、今日一日がめちゃくちゃ長く感じた。

 面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、ご評価、リアクションのほど、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ