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心に蓋をしてくれたみんな。  作者: 龍  岳
【様々な女子達、それぞれの思い】
3/17

第3話 暮らす上でのルール

「はぁ〜……」

「だ、大丈夫……?」


 俺がソファで、力なく項垂れながらため息をつくと、ポニーテールがよく似合う女子──俺が着替えを覗いてしまった女子──が、心配そうに声をかけてきてくれた。

 しかも、それが顔を覗き込んでくる感じだったから、胸元が見えてしまい、谷間と水色の下着が見えてしまって……。


「うわぁあああああ!」

「「っ!?」」


 俺はソファに慌てて突っ伏した。

 なんでそんなに無防備なんだよ……!

 うちら男子がどんだけ普段気を遣ってるか知らないだろ!

 スカートが短かったり、露出が激しかったりすると、目を逸らして見ないようにするの大変なんだぞ!

 そっちを見てなくても、たまたま目に入って、それだけで不審者とか言われて冤罪で捕まる場合だってあるんだぞ!

 女子ももう少し気をつけてくれてもいいと、俺は思う……。

 俺達に見せるつもりでも、ためでもないのは分かってる。

 でも、それは男子も同じで、見たくないし、見ようとも思ってない。

 だけど、勝手に視界に入ってきたらもうそれはどうしようもないじゃないか……。

 


「だ、大丈夫……!? 優君……!?」

「だ、大丈夫なんで、あんまり近づかないでもらえますか……?」

「あ、う、うん……」


 しばらく沈黙が続いた。

 俺はソファのクッションに顔を埋めていたので、二人の様子は窺えなかった。

 そんな沈黙を破ったのはミディアムヘアの女子だった。


「そういえば、私達自己紹介してなかったよね」

「あ、そうじゃん! すっかりしてた!」

「それを言うなら、うっかりだ」

「あ、えへへ〜♪」


 はっ! いかん! なんか勝手にツッコんでしまっていた!


「苗字は優君と同じなんだけど、改めまして。梁矢 (みなと)です。年は二人より二つ上の十七歳です。これからよろしくお願いします」

「私は梁矢 鈴! 年は優君と同い年の十五歳だよ♪ まぁ、誕生日は優君の方が先だから、これからよろしくお願いします、お兄ちゃん♪」


 二人が自己紹介をしてくれる。

 って事は、俺には義理の姉と妹ができたって事か。

 わ〜い。やった〜〜〜。


「じゃあ、こっちも。知ってるだろうけど一応。梁矢 優。十五歳です。よろしくお願いします」


 俺も一応自己紹介をした。そして──、


「この家で暮らしてもらうのは構わない。だけど、何も決めずに暮らすのは違うと思う。だからルールを決めよう」

「ルール?」


 鈴が小首を傾げる。なんでそんな無駄に可愛いんだよ!

 ていうか、首を傾げるとブラの肩紐が……!


「そう。俺達は家族になったとは言え、他人だ。礼儀やマナーをしっかりしなければならない。だから、ルールは設けないと」

「な、なる、ほど……?」

「確かに。そうかもですね」


 鈴さんは分かってるのか分かってないのか、小首を傾げて納得し、湊さんは俺の提案に同意してくれた。


「それで、どんなルールを設けますか?」

「そうですね……まずトイレやお風呂、脱衣所などの使用ルールについてから決めましょう」

「「はい」」

「まず、全てお二人優先にします」

「「え!?」」

「朝早く起きて何かするのであれば、俺はお二人が終わるまで部屋から出ませんし、俺より遅く起きるのであれば、俺は先に全て済ませておきます」

「ちょ、ちょっと待って──」

「夕方もそうです。学校から帰ってきて、二人が先にいたら、俺は部屋にこもります。そしてお二人が全て終えたら俺が使用します」

「ちょ〜〜っと待って!」

「うおっ!?」


 鈴さんが俺の肩を掴んでくる。


「ど、どうしたんですか……!?」

「どうしたんですか、じゃない! なんで私達が全て優先なんですか! ここは優君の家ですよね!? そこに私達は居候させてもらう身です! 優先されるべきは私達ではなく、優君です!」

「そうですね。全てを私達基準にしてもらうのは、申し訳ないです」


 二人がそう言ってくる。

 まさか否定されるとは思ってなかったけど、でもまぁ、俺の意志は揺るがない。


「いえ。俺の事は気にしないでください。男女比1:2。となれば、女子に優先権があって、女子に合わせるのが当然。そして、女子の着替えや何やらを不慮の事故だったとしても見てしまうなんて事、絶対にあってはならない。だから、このルールは受け入れてもらうしかありません」

「「……………」」


 納得いってない顔だな〜……。


「さっき、俺に見られて嫌だったでしょ? ここでこのルールを設けないと、嫌な思いをしてしまう。だから受け入れてください」

「(別に嫌じゃなかったんだけど……)」

「え?」


 鈴さんが何か言ったような気がしたけど、小さすぎて聞き取れなかった。


「分かりました。受け入れます」

「お姉ちゃん!?」

「ですが、それだと私達が恵まれ過ぎています。なので、私達に何かさせてください」

「そ、そうだね!」

「何かとは……?」

「そうですね……例えば──」

「「料理!(とか)」」

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