第18話 灯のミッション!
け、結局撮れずに帰りのHRになっちゃった……。
そもそも、私はなんでこんなに頑張ってるんだろう……。
確かに、梁矢君の事は好き。でも、だからって盗撮を頑張る理由にはならない。
じゃあ、なんで……?
私はチラッと、梁矢君の方を見る。
眠そうな顔で先生の話を聞いている梁矢君。
その顔を眺めていて分かった。私がどうしてこんなに撮りたいと思うのか。
それは……。
梁矢君の素をずっと見ていたいからだ。
私は多分、変態なんだと思う。
梁矢君の、人には見せない姿を見たいと思っている。
光さんに見せてもらった写真の中には、絶対に人には見せないプライベートな姿の梁矢君がいた。
私は、心のどこかで、こんな写真を自分も撮りたいと思ったんだと思う。
だからだろう。私がこんなに頑張っているのは。
でも、どうしよう……。このままじゃ今日が終わっちゃう……。
このままじゃ、光さんに認めてもらえない……。
どうしよう……。
そんなこんなで、ついに放課後になってしまった。
☆ ♡ ☆
帰りのHRが終わり、みんなが続々と席を立ち下校して行く。
マズイマズイマズイ!
ど、どうしよう……! こ、このままじゃ梁矢君、帰っちゃう……!
「優君! 一緒に帰ろう!」
「ごめん、買い物があるから」
「一緒に行くよ〜! 荷物持つし!」
「いや。一人でいい」
「む〜! 嫌だ! ついて行く!」
鈴さんが粘っている。
その間に作戦を立てないと……!
「鈴〜? 帰るよ〜?」
「あ、お姉ちゃん! ねー聞いて! 優君が一緒に買い物させてくんないの!」
「また〜? 優君は一人で落ち着いて買い物したいんだって言ってるでしょ〜? 鈴が付いて行ったら、余計な物ばっか買うし、うるさいし、迷惑でしょ」
「え〜! 何それ〜!! 私、そんなうるさくないし、余計な物入れないよぉ〜!」
「あ〜はいはい。分かった分かった。ほら、帰るよ〜」
「あっ! 待って! 嫌だ〜〜!」
「優君、ごめんね〜」
鈴さんのお姉さんである、湊さんが鈴さんを連行して行った。
鈴さんのお姉さんって事は、湊さんも優君と一緒に住んでるんだよね……。
「優〜? 帰ろうか〜」
「あぁ」
あ! どうしよう……! このままじゃ帰っちゃう……!
う〜〜〜〜!
梁矢君を追いかけた。
下駄箱で靴を履き替えている梁矢君と、畑谷君。
チャンスは、今しかない!
「あ、あの……!」
「「?」」
二人が私を不思議そうに見てくる。
き、緊張する……!
「は、梁矢君! しゃ、写真を撮らせてください!」
「「………………………?」」
ふ、二人がボカンとした表情を浮かべてる……。
そ、そりゃそうだよね……いきなりこんな事言われたらそうなるよ……。
「優……この子って同じクラスの早口さんだよね? 接点あったの?」
「まぁ……この前たまたま外で会ってな。そこで趣味とかが同じだから意気投合したんだ」
「へぇ〜……君も何気に、隅に置けないね〜」
「うっせ。んで、写真ってどういう……?」
「あ、うん……あの……」
心臓の音うるさい……!
手が震える……足も震える……!
でも、言ったからには頑張らないと!
「あ、あの、ね? あの、その……は、梁矢君の連絡先のアイコンを設定したくて……そのアイコンを梁矢君の写真にしたいな〜って思って……駄目、かな……?」
我ながら無理がある理由だと思う。
こんな理由で写真なんて、撮らせてもらえる訳……。
「なるほど。いいよ」
「ですよね……ごめんなさい──え?」
「え?」
今……今、いいよって言いましたぁ!?
「ほ、本当にいいの!?」
「う、うん……そのくらいなら全然。逆に俺も早口さんの写真撮ってもいい?」
「あ、は、はい! もちろんです!」
嬉しいぃ〜〜〜!!!
今この場で飛び跳ねたい! でも、そんな事、好きな人の前でできない!
私が心の中で小躍りをしていると、梁矢君の隣にいた畑谷君が──、
「ってか、だったらツーショット撮ればいいんじゃ?」
「ふぇ!?」
「あ〜確かにな」
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
梁矢君の写真を撮るだけでもこんなに緊張してるのに、つ、つ、つつつつつつつつツーショットなんてぇ!?
「早口さん、どう?」
「も、ももももももももももちろんよろしいでござりまする……」
「その口調、何?」
畑谷君に突っ込まれてしまった。
私だって分かんないですよ〜!
「じゃあ、僕が撮ろうか?」
「そうだな。じゃあ頼むわ。早口さんもそれでいい?」
「あ、は、はい!」
「どっちのスマホで撮る?」
「わ、私のでお願いします」
「了解」
私はスマホを畑谷君に手渡す。
「ほら、二人もっと寄って」
「はいはい」
「っ!?」
は、梁矢君のか、かかかかかかか肩がぁぁぁぁ!!
私なんかの肩にぃぃぃぃ!!
触れてるぅぅぅぅぅ!!
ヤバい! こんなの死ぬ!
「じゃあ撮るよ〜」
カシャ。
「こんな感じだけど、どう?」
「っ!」
わ、私がは、梁矢君と同じ画角に収まってる!
こ、こんな夢みたいな事あっていいのぉ!?
「だ、大丈夫です! あ、ありがとうございました!」
私はスマホを受け取り(ほとんど奪い取るような形)、廊下を走り光さんの元へ向かった。
「あ、後で送ってね〜!」
「は、は〜い!」
ごめんなさい、後でちゃんと送らせてもらいます!
盗撮とは言えませんが、なんとか写真を撮れた灯。
光にその写真を見せに行くのですが、果たして光はその写真を認めてくれるのか?
続きは次話で!




