第16話 光の初恋
私が優君に惹かれたのは、高校受験のあの日だった。
『あ、あれ……こっちじゃない……?』
私と優君が通う高校──小野道寺高校は、最高峰の教育機関で、建物が大きく、とにかく広い。
教室も数多くあり、目的の教室に中々たどり着けない生徒も数多くいる。
その為、校内を自動ローラースケートを履いて移動する。最新AIを導入しているので、目的地を設定すると自動でそこに連れて行ってくれる。
でも、受験する人はそれを持っていないので、一度迷うと目的地にたどり着けなくなってしまう。
『ど、どうしよう……もうそろそろ試験始まっちゃうのに……』
試験が始まる前にトイレに行ったのはいいものの、帰りに迷ってしまった。
キーンコーンカーンコーン。
予鈴が鳴ってしまった。
『もう、諦めるしか……』
どうしてもこの学校に入学したかった。でも、もう諦めるしかない。
迷子になって試験を受けられなかった人は毎年何十人といる。
それが今年は私なのだろう。
『はぁ……』
私が廊下で立ち尽くし、ため息をついていると──、
『何してんだ?』
後ろから声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには少し寝癖のついた髪を直そうとしている男子がいた。
『もう予鈴鳴ったぞ?』
『う、うん……ま、迷っちゃって……』
『あ〜なるほどな。ここ広いからな。ほら、来い』
『え……?』
『教室、連れて行ってやる』
少し気怠そうに言ってくる男子。
口調は少しキツイけど、その中に優しさがある。
『お、お願いします……』
『ん』
男子が歩き出す。私はその後ろをついて行く。
男子の背中を眺めながら私は感じていた。
(この人、優しいなぁ……。好き。好き。私、この人の事、大好き! 名前なんて言うのかな? どこに住んでるのかな? 何が好きなのかな? どういう女の子がタイプなのかな? あ〜全部知りたい!)
そんな事を考えていると、男子がこっちを向いてきた。一瞬ドキッとすると──、
『着いたぞ』
『あ……』
私が目指していた教室の前に着いていた。
『んじゃな』
『え……?』
『あ〜俺、別の教室だから』
『な、なるほど……』
『んじゃ』
去っていこうとする男子。私は思わず引き止めてしまった。
『あ、あの!』
『ん?』
『あ、ありがとうございました! お、お名前は……』
『………………優』
『す、優君……本当にありがとうございました!』
『ん』
男子──優君は若干無愛想に頷きながら、去っていった。
『優君……またね』
これが、私と優君の初めての出会いだった。
そこから、私は高校に合格し、入学する事ができた。
優君も合格していて、一緒に通える事に狂喜乱舞していた。んだけど、クラスが違うと知り、ものすごくショックだった。
でも、私はそんな事で諦めたりしない。
入学したその日から、行動を開始した。
下校中の優君の後をつけ、自宅を特定。
学校のいたるところで、隠れて写真を撮る。
優君の鞄の中に盗聴器を入れて、家での音を聴く。
一人暮らしなのか、会話がなかった。でも、夜になるとエッチな声が聞こえるから、そういうのを見てるのだろう。
それのおかげで優君の好みを知る事ができた。
そんな事をしていたある日、優君の家に女が二人現れた。
その二人は義理の姉と妹らしい。
お父さんとの会話で、再婚する事は知っていたので、もしかしたらとは思っていた。
でも、まさか女子が二人なんて……二人なんて……!
負けてられない!!!
行動を起こす必要があると思った私は、私と同じ匂いがする灯を見つけ、仲間にした。
これで最初の準備は整った。
「優君、堕としにかかるから、覚悟しててね♡」
光は何を企んでいるのか。灯と共に何をするのか。
お楽しみにしていてください!
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