冒険だぁー!
計画通りだ。
悪さしたのが母ちゃんに見つかり、爺ちゃん家のいつもは鍵が掛けられている蔵に罰として閉じ込められた。
僕が小さかった小学生低学年の頃までは真っ暗な蔵の中は恐怖しか感じない所だったけど、高学年になった今はお宝が隠されている冒険の地。
電灯のスイッチに手が届くようになったっていうのもあるけどね。
東京の大学に行った叔父さんが置いていった漫画を発掘するっていうのが、今日の冒険の目的。
手前の荷物をどけて奥の方に置かれている雑誌の束に手が届いたとき、目の隅を何かが横切った。
目を凝らして横切った物を見る。
か、怪獣……ネズミだぁ。
閉め切られた扉に走る。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 開けてー! 言うこと聞くからー! もう悪さしないからー! おかあさーん!」