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世界でたった一人の男となった俺

「うんうん。なるほどねぇ。君はかわいそーな人生を送ってきたんだねぇ。気の毒だねぇ。不憫だねぇ。哀れだねぇ」


 六畳の俺の部屋に現れた不審者相手に、何故か俺は身の上話をしていた。あれ? なんで俺こんか怪しい相手に自分の事を話しているんだ? 俺が先ずすべきは警察に通報じゃね?


「よし! なら君の不幸な人生を変えよう! うーん。そうだねぇ。 世界から君以外の男を消すのはどう? 世界で男は君一人だけ。 そうなれば君はきっと女性からモテるよ。いや。モテるなんてモンじゃない。ハーレムだよ。ハーレム!」


 不審者はそう言い残すと、俺の肩を嬉しそうに叩き姿を消した。そう。消えたのだ。俺の前から一瞬にして。


 部屋で呆然と立ち尽くす俺の背後からは、アダルトゲーム「蹂躪白書」のお気に入りキャラクター、桃香色香の喘ぎ声が聞こえていた。



 ······その日から世界は一変した。あの八重歯の不審者の言った通り、この世界に存在する男は俺一人になった。


 いつも通り学校に登校すると、朝から下校時までずっと女子から話しかけられ続けた。翌日には他校の女子生徒や女子大生が俺の下校を待ち伏せしていた。


 三日後には政府関係者と名乗る眼鏡をかけた色気満々の美女が俺に面会を求めてきた。何やら種の保存の為に協力して欲しいと言われた。


「······草臥損さん。単刀直入に申し上げます。我ら政府が用意した容姿端麗、十六歳から二十歳までの身体的にも良好の女性に性交渉をして頂いた場合、一度につき一億円お支払い致します」


 どうやら政府が選りすぐった美女とエッチをすれば、一回につき一億円の血税が貰えるらしい。流石に政府相手に楯突くと後が恐いので、俺はお茶を濁した返事をして曖昧な猶予を貰った。


 あの八重歯の不審者はどうやら神様だったらしい。ん? そう言えばあの不審者。いや、あの神様ってどんな格好と顔をしてたっけ? 軽いノリと特徴的な八重歯しか思い出せない。


 まあいい。八重歯の神様には取り敢えず感謝して俺は俺の目的を果たすのだ。俺を踏みにじってきたこの世界に。


 とりわけ俺を見下し続けた女共に目にものを見せてやるんだ。ふふふ。

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