おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!7.聖女の教え
私はエドガー・バルマー。バルマー家は聖女の護衛を担ってきた名家だ。今回も厄災の啓示があったので、アグネスとマリア、私と魔道士モニカ殿で対応している。
「全然、余裕!」
正直、この勇者は強い。さっきから風を切り裂く音が止まない。まあ、武器が鞭なのだが……
「あはっ! 皆ゴミみたい!」
先程は女淫魔を「男を誑かすのはその胸か!」と言いながら嬲っていたな。お前等……女淫魔に対する風当たりキツイな……
「次はどんなの来るのかなぁ?」
さっきから気になっているのだが、マリアの表情が厳しい。聖女としての自覚が目覚め、勇者としての資質を見極めようとしているのか!
「勇者達よ!お前等はこれで終わりだ!」
突然、禍々しい声が聞こえると、黒い影のような人影が現れた。この気配はネクロマンサーだ! 厄介な敵が現れてしまった。
「出でよ! 我が下邊達よ!」
邪悪な気配が蔓延すると、集約して筋肉隆々の死霊が形成された。死霊に筋肉は必要なのか?
「いいよ~。遊んであげる!」
アグネスはそう言うと、鞭を振るって1体を攻撃して消滅させた。ただ……アグネスは強いがこの数は不味い気がする。すると、マリアがアグネスに向かって歩き出した。聖なる光で一気に殲滅するのか?
パシッ
洞窟に音が響き渡る。マリアがアグネスの頬を叩いた! どうした?! 何か問題があったのか?
「何のためにそれを持ってるの? 貸しなさい!」
分からない……マリアは何を怒っているのだ? すると、マリアはアグネスから奪った鞭を振りかぶった。
ビッシ! 「オーン!」
はぁ?
ビッシ! ビッシ! 「オッオーン!」
よ……良く分からないが、筋肉隆々の死霊が恍惚の表情を浮かべている気がする。
ビッ! ビッ! ビッシ! ビッシ! パーン! 「オオオオッオーン!」
死霊が消滅した……何が起こっているのだ?
「これが本当の鞭の使い方よ。しっかりと逝かせないと駄目よ……」
マリアの目が真剣なんだが、私にはさっぱり分からない……アグネスの瞳はウルウルしている……
「あぁ……おねぇ様ごめんなさい……良い筋肉は逝かせないと駄目ですよね……」
何を理解している貴様ら? 私にはさっぱりわからん。
「さぁ、逝かしちゃうよ!」
あとは地獄絵図……オンオンと五月蠅かった。ネクロマンサーも鞭に打たれて変な声を上げていた。アグネス……適応しすぎだろ……
「勇者様……素敵……」
やるせない気持ちでモニカ殿を見たら、この有様だった……私は言いたい! これは一体なんなのだ!