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片恋トライアングル  作者: 作花恋凪
8/23

*ステージ-7*

(えっ……EITO!?同じ学校、学年の芸能科だってことは中島さんから聞いてたけど、まさか同じクラスになるなんて……!)


「折下君、急にどうしたの?」


担任の先生が、EITOに問い掛ける。その声音には、ほんの少しではあったが、驚きや戸惑いが混じっていた。


EITOはそこで我に返ったようで、クラス中の視線を集めていることに気付くと、

「あ……な、なんでもありません。すみませんでした。」

小さな声で言い、静かにイスに腰を下ろした。


「そう、なら、話を続けるわね。彼女は───」


担任の先生は、また愛璃について話し始めた。


愛璃は、その声には耳を傾けず、EITOの方をうかがった。


愛璃と同じく、芸能科の制服に身を包んだEITOは、確かに昨日と変わらない容姿であったが、黒い眼鏡をかけていた。あと、これは愛璃の勘違いかもしれないが……


(なんか……少し雰囲気が暗いような……)


そう、ステージに立っているときや、他の人と話しているときとは違い、表情に影があるように見えた。


「───じゃあ、澄原さん、席は、空いているあそこの窓際の席で。」


「あ、はい!」


担任の先生の声で愛璃は1度思考を中断し、席に着いた。窓から暖かく日が差し込み、黒板からもほど遠く、とても満足のいく席だった。


そごて、HR終わりのチャイムが鳴った。


キーンコーンカーンコーン……───


鳴ると同時に、愛璃はクラスメイトに囲まれた。


「昨日のライブ、ネットで見たよ!」

「も~、ほんと可愛い~!!どこのコスメ使ってるの??」

「さっきの影人の反応、何!?2人は、どんな関係??」


待ってましたとばかりに質問攻めにされた愛璃だが、クラスメイトの質問に答えながら、こっそりEITOの方を見た。


(本名、折下影人って言うんだ……)


影人は、他のクラスメイトと、楽しそうに談笑していた。


(あれ?やっぱり、さっき感じた暗そうな雰囲気、勘違いだったのかな……。)


「ちょっと、澄原さん、聞いてる!?」


「あ、あぁ、ごめんね?んとー、ライブで歌った歌はー、───」


クラスメイトから尽きることなくぶつけられる質問に答えたり、初めての環境での授業を受けたりしているうちに、この日の昼は慌ただしく過ぎていった。


───そして、放課後。終業のチャイムが鳴るなり、それぞれの仕事に向かったクラスメイトのお陰で、愛璃はこの日初めての休息の時間を手にした。教室に残っているのは、愛璃と、まだ帰り仕度を終えていない影人だけだった。


(こんなにゆっくり帰り支度してるってことは、EITOも今日はお仕事オフなのかな……まぁ、昨日ライブだったしな……。)


このまま黙っているのも気まずいと思い、愛璃は、影人に話し掛けてみることにした。


「えと……影人、君?同じクラスなんてビックリだよね、あはは……。これから、同じ事務所のアイドル仲間としても、クラスメイトとしても、よろしくね!」


そう言い、愛璃お得意のアイドルスマイルと共に手を差し出す。……が。


「……。」


影人は、愛璃に目もくれず、そのまま帰り支度を終えると、足早に教室から去っていった。


ガラララ……ピシャッ


残ったのは、扉を閉める音の反響と、愛璃だけ。……もっと言うと、影人の態度に怒り狂った愛璃だけ、だった。


(は?何でムシされるの??愛璃何もしてないよね!?っていうか、先に学校で反応したのそっちじゃん!!ライブのときとか優しかったし、同じクラスだからきっと仲良くなれると思ったのに~!)


「もー!なーんーなーのーよー!!」


オレンジ色に染まった教室の中で1人、愛璃の声が教室中に響き渡った。

Twitter→@Cocona_Sakuhana

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