*ステージ-3*
そして、流れるように3日が過ぎ、ついにデビューライブの日を迎えた。──といっても、ショッピングモールのミニステージで、だが。
しかし、愛璃はそんなことを気にしなかった。大切な自分のデビューライブ。愛璃はやる気に燃えていた。
(そういえば、客寄せのために、愛璃の前に大人気アイドルが歌うって言ってたっけ……。それでこのお客さん……。)
そうなのだ。まだ知名度0の愛璃のために、中島が同じ事務所の大人気アイドルのライブもセッティングしてくれたのだ。
「澄原愛璃さーん!そろそろ着替えとメイクお願いしまーす!」
そんなことを考えているうちに、愛璃はメイクさんに呼ばれた。
「はーい!」
──30分後。
「きゃー、愛璃ちゃんすっごく可愛い!!」
「元が良いからね~。私も久し振りに腕が鳴ったわ。」
部屋の中は、愛璃を称賛する声でいっぱいだった。……それもそうだろう。ライブ衣装に身を包み、プロのメイクを施された愛璃は、普通のアイドルとは比べ物にならないくらいの可愛さだった。
「きゃー、本当ですか!?ありがとうございます♪」
それを自分でも承知している愛璃は、笑顔で答える。
──と、その時だ。
「「「きゃーーーーー!!!!!」」」
観客席から、割れんばかりの声が発せられる。
愛璃は、ステージを少し覗いてみた。するとそこには、大人気アイドル『EITO』の姿があった。
(え、え、え~~~!!!大人気アイドルって、EITOのことだったの~!?)
EITOは、得意のダンスと共に2曲披露し、最後は悲しそうにこう言った。
「皆、今日もありがとう!……残念だけど、今日はこれで終わりなんだ……。」
「え~~↓↓」
すかさずファンがあからさまに落ち込む。
すると、EITOは、
「でも、大丈夫!次は、今日がデビューライブのすごく可愛い女の子が、このステージを僕と同じくらい盛り上げてくれるよ!皆、応援してあげてねっ!」
そう言って、ウインクした。
「はーい!(ハート)」
ステージ裏でスタンバイしていた愛璃は、呆気に取られるしかなかった。
(う、う、……嘘でしょ~!?)