*ステージ-18*
愛璃、影人、優が3人で主役を務める、映画『言葉以上の気持ちを君に』。撮影が始まってから、早くも2週間が経った。
この映画は、簡単に説明すると、愛璃の演じるヒロインを、影人と優の演じる2人のヒーローが奪い合う話だ。最終的には、ヒロインは優の演じるヒーローと結ばれる。
今日は、優の演じるヒーローが、ヒロインに告白するシーンの撮影だった。愛璃は、
(優との告白シーンは前にオーディションでも演じたし、大丈夫でしょ!)
と、たかをくくっていた。
「澄原さん、そろそろカメラの前にスタンバイお願いします!」
「はい!」
愛璃が、すでに優がいるカメラの前にスタンバイすると、優が急に口を開いた。
「愛璃ちゃん」
「はい?」
愛璃は、返事をし、優と視線を合わせた瞬間、優に肩を抱き寄せられた。驚いたのもつかの間、優は耳元で、ゆっくりとささやいてくる。
「最初に会ったときから、ずっと愛璃ちゃんのことが好きなんだ。俺と、付き合ってよ。」
愛璃がその言葉の意味を理解する前に、優は愛璃から離れ、
「返事は……映画の撮影が終わったあとでいいから。」
と続けた。優の言葉の意味を問おうと、愛璃が口を開いた瞬間、
「撮影始めまーす。」
スタッフの声に遮られた。
様々な感情の波に呑まれそうになる愛璃を置いて、撮影は始まってしまった。
『よぉ、今帰りか?だったら、一緒に帰ろうぜ!』
反射的に、愛璃も流されるようにして演技を始める。
『うん、もちろんいいよ!』
そうして、なんとか談笑のシーンをやり過ごすが、ついに、告白シーンが訪れた。
『お前……俺のことどうおもってんの?』
『どうって?』
『だから、っ……、お前のことが、好きだってことだよ……。』
愛璃の演技に異変が起きたのは、その後だった。
『そんなの……私も……すっ……』
その言葉の先が言えない。だんだん呼吸が荒くなっていく。顔が青白く変わったと思うと、愛璃は半ば倒れるようにして、その場に座り込んだ。
「カットカァーット!」
「澄原さん、大丈夫ですか!?」
スタッフたちが駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫……です……」
愛璃はかろうじて呟いた。
「うーん、とりあえず今日の撮影はやめたほうがよさそうかな。──」
遠くで、監督とスタッフの話し声が聞こえる。それを意識の外で聞きながら、愛璃は気を失った。
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