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血のメッセージ

 施設内を探索中に犬型警備ロボットに襲われたケイは、突然現れた見知らぬ男に助けれた。ケイは彼に質問をした。

「あなたは!?いったい…」

「俺の名前はクルーガー・シュラー。ノノド育ちの色男よ」

 男はニヤリとしながら言った。口からは白い歯がチラリとのぞいた。

「ぼ、僕はケイ。ケイ・ファイヴ。体から出たビリビリはいったい…?」

 ケイはおそるおそる言った。

「あぁ、アレか? 俺は体から電気を発することができるんだ。理由はわからんけどな。いわゆる《呪われ人》だよ」

 男はガラクタになった犬の残骸を何やら端末機器を使ってスキャンしながら快活に答えた。

「そうだ、それは!?」  

 ケイはその犬だったものを指で指した。

「これか? これはキカイーヌ。旧時代の遺物だな。動く状態で残ってるのは珍しい」

 そう言った後、自分をクルーガー・シュラーと名乗る青年はケイの方に向き直り「次はこっちが質問する番だ」と話しだした。

「ボウズ、服装はおいといて、年齢的には職員には見えないが、何者だ?」

 ケイは少し考えてから「僕も自分が誰だかわからない…」と答えた。そのとおりだ、彼の正体などおそらくこの世界で知ってるものなど少ない、いや、いないと言っても過言ではないだろう。

 その後、彼は自分が目覚めてからの出来事をシュラーに語った。

 シュラーはそれを聞くと「なるほど…。と言うと、お前は旧時代の人間なのか」と驚きながら言った。

 ケイはこの《旧時代》という言葉の意味がわからなかった。

「旧時代って?」

「あぁ、そうか。当の本人にはわからんよな。この世界は一度崩壊したあとに生き残った人間が創ったものなんだ。それで今の世界を新世界、崩壊前を旧世界と言うんだ」

 シュラーは真剣なそれでいて他人事のような顔で言った。

「世界が崩壊? じゃあ、どうして、僕はここに…?」

「おそらくだが、この施設は旧世界の最終兵器の攻撃に耐えれたんだろう。その後職員達は飢え死に、食糧のいらない冷凍睡眠中のお前は生き残った…」

「っ…」

 ケイは驚いた。薄々は自分でも気づいていたが、やはり、自分の置かれた状況は『全く知らない世界にいきなり放り出された』と言うことなのだ。

 狼狽するケイを見てシュラーは気の毒に思った。自分より一回りくらい年下の少年が自分でも耐えられないかもしれない状況にあるのだ。

「これもなにかの縁だ、お前が誰なのか、一緒に調べてやるよ」 

 シュラーはそんな少年を助けようとするような人のいい男だった。なにかこの少年を助けなければならないという義務感さえ感じていた。

「…」 

 なおもケイは黙る。

「いいから」とシュラーは言いながら、ケイを連れ、螺旋階段を登る。

「ありがとうございます」

 ボソりとケイは言った。シュラーは黙って照れくさそうに頷いた。

 螺旋階段を登りきると、そこにはたくさんのモニタが並んだ中央制御室があった。

「…!」

「誰ですか!? あれは…」

 二人は死体を見つけた。

「まだまだ新しい…、2、3日くらい前だ」

「酷い臭いですね…それに頭がない」

「こいつ、教会の1派だな」

 シュラーは死体となった男の服装を見て言った。死体は特徴的な紫の機動服を着ていた。 

「教会って?」

「《忘れられた知の神教会》さ、やつらはなかなかの規模で旧世界の怪しい技術の研究をしてるって噂だ」

「その技術って?」

「呪われ人を使った実験さ」

「っ…!」

 ケイは背筋に驚きと怒りが這うのを感じた。この世界でも自分たちのような存在は人としては扱われない事があるらしい。 

「どうしてこいつは頭がないんだ?」

 そう言うとシュラーは周りを見回した。それに合わせケイも周りを見る。

「なんだこりゃ…」

 二人の目には壁に飛び散った血で書かれた文字が写っていた。旧世界の言語で書いてあった。

「おい、ケイ。これ、読めるのか?」

「『シャングリラ』って書いてある…」

「地名だ。はるか西の方にある旧世界最大級の都市だった場所さ。おそらくこれをやった犯人が書いたんだろう…」 

「でもどうして…」

「お前さ…」

「…?」

「お前に向けて書いたんだ奴は。奴さんは多分だがお前の事を知ってるやつだろう。おそらくはお前とおんなじ旧世界人、あとから目覚めたお前に向けてのメッセージだろうな」

「メッセージ…」

「向かうしかないだろう。それしかお前が誰であるかの手がかりはないんだから」 

「はい…」

 ケイは静かな、それでいて強い意志を表す声で答えた。 

「そんじゃ、まずは俺の村に帰ろう。こんな錆臭いトコにいちゃあ、俺たちも錆びちまうぞ」

 シュラーは笑いながら言った。

 それからケイはシュラーに連れられ施設をあとにした。


 



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