青春の訪れるとお嬢様のカミングアウト
イジワルなお嬢様と少し暗い高校生のお話。
プロローグ
中間テストが終わり、今度は期末に差し掛かる初夏のこと。席替えが行われた。
誰が隣で誰が前で後ろでだけで喚いている奴等が幼稚に見えた。席なんか替わろうと、騒ぐことだろうか? クラスメイトが、ガラリと変わる訳でもないのに。
そう、思、今までは。この席が、この席替えがきっかけで、毎日毎日悲惨な目に遭う。でも、今までの学校生活で一番と言えるほど、愉快な気持ちになった気がする。俺の名は、関谷 優斗。ただの高校一年生。
小悪魔にイジられてます
「おはよう、関くん」
「おはよう。今日は、いつもより早いですね」
彼女は、八雲 初。お嬢様兼問題のある隣の席の生徒だ。
「悪い？ 私が早くて? 酷いなぁ、関くんは」
こうやって、イジっては、いじってくる。面倒なお嬢様な訳です
彼女の髪は漆黒の艶鮮やか。見た目は清楚系、だけど意地悪なお嬢様なのです。そこさえ無ければ、俺は好意を抱いただろう……ちょっと残念でならない。
とまぁ、イジられながらも、ある日。「放課後、需要の無い教材室に来て」と言われた。どんなイベントが待っているのだろう……ほんの僅かな期待を持って教材室に、向かった。
教材室に入ると、目の前で、漆黒の髪が夕日に照らされ輝いていた。
「関くんあのね……」
来るぞ! 来る! そう思うと、鼓動が速くなる。視線が泳ぎ始めた。
「私、関くんのこと……大好きな友達だと思っています！」
なんだ、そんなことか。緊張したのが馬鹿みたいだった。そのせいだろうか、力が抜けていくような感覚だ。
「だっ！ だから私の秘密……信じてくれる？」
「わかった、信じてみよう」
八雲 初の言葉は、衝撃的なものだった。存在しないはずの虚構のものだった。
彼女は二の腕辺りまで制服を脱ぎ、背を向けた。背中には闇色の羽根。
信じられず。そこに立ち尽くした。
「私、悪魔なの。 信じられる？」
絶句して、唖然としている。
次の日、普通に声を書けてきた。
「おはよう! 関くん! 昨日のこと、信じた？」
なんと言えばいいのか、わからない……
「え〜っと、何といえばいいのかな……あっ、おはよう」
戸惑う俺の顔をみて、笑うのを堪える為に頬が少し膨らんでいた。
「あんなの本当だと、思ってるの? 関くんは想像力が豊かですね〜」
だよな〜。あれ、嘘だよな。驚かせるのが、狙いだったのか。
「びっくりしたー、嘘なのかー」
当たり前でしょ、と顔に書いたかのような顔でこう言う。
「執事に頼んで作ってもらったのよ。かなり精巧に作ってもらうために、高額を投じたわ」
「マジカ。流石、お嬢様だけあるな」
こんだけのために一体幾らお金を使ったんだろう……
「嘘です。昨日、言ったことが全てですよ。私、悪魔の孫です。」
…………んん? えっ? なんだって。
理解出来ない。いや、あれ、偽物なら羽開くときに機械音するか。
でも、そんな音しなかった。
「あぁ、その顔。オモシロイ！ ぶふっ」
真面目に考え悩む人間見て笑ってやがる、この嬢! 腹立つぅぅ!
「あっ、これは誰にも言わないでね」
言ったら、殺される気がするから、拡散しません。絶対に! 神に、違う。 そこの悪魔に誓おう!
はじめまして。真名 蓮と申します。
作家を目指す、現役高校生です。
この度から、趣味で投稿させていただくことになりました。
多くの人に読んで貰えれば、投稿者としてこの上ない幸せです。
