8話
急に何かが飛んできたため、硬直してしまい、そのまま胸に直撃してしまった。
“ドンッ”という音がし、衝撃で後ろに飛ばされて木にぶつかってしまった。
「ぐっ、なっなんだいきなり・・・大した痛みはないけど」
当たったところを見てみると、胸当てに角が生えたウサギが刺さっていて、角が抜けないのかウサギが暴れていた。
「このっ、びっくりしただろうが!!」
ウサギの頭を持って引きはがし、そのまま振り回して地面に叩きつける。
『ギュピッ』という声をだしてそのまま動かなくなってしまった。
「あ~びっくりした。というか防具に刺さってたけど大丈夫か?これ」
角が刺さっていた場所を見てみたら1cm位の丸いへこみができていたが、モコモコとへこんだ部分がふさがれていった。
「あぁ~確かに自動修復してるわ。どうやったらこんなことになるんだ?」
そんなことを思いながら先ほどのウサギを見てみると、鑑定眼鏡が仕事をしてくれた。
名:ホーンラビットの死体
ランク:S
特記:食用可。肉は脂身が少なくあっさりしているが、柔らかく最高級食材。個体数が少なく、幻の食材。角は錬金術の素材として用いられ、希少価値が高い。
なんか幻の食材を手に入れてしまいました・・・
っていうか、どうやって解体すんだよ!!
どうせならきちんと処理をして食べたいし、角は希少価値が高いみたいだからきちんと保管しておきたい。いずれいい値で売れるかもしれないし。
とりあえず、あの町に戻ってご飯にしよう。
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昼に休憩をした家に戻り、夕食の支度をしていく。
薪になりそうな木を拾いながら帰ってきたので、その木を使って火を起こす。
まずはとってきた山菜からだな。
まずはスジ芽からだな。
スジ芽の周りにある繊維に切り込みを入れて、中身だけ取り出す。すると、プルプルとした身が出てきたので、少しだけ切って味見をする。少し苦いがまぁ食べれるだろう。
軽く火を通してみてもいいかもだけど、ほかの食材もあるから下ごしらえはこれで終わり。
アク芽はアク抜きに時間がかかりそうだから、明日の朝食用に最後だな。アク抜きに灰も必要だし。
次はキノコ類。
アカボツきのこは、生食厳禁ぽいから切ってバター炒めとかもいいけど、残り少ないから少し節約したい。塩コショウでスジ芽と炒めてもいいかもしれない。
アオドクタケも同じような感じで炒めてみよう。どうせなら2種類のキノコの味比べもしてみたいし。
いろいろな種類を試してみたいが、今はそんな状況ではないし、落ち着いてからでいいだろう。
両方ともざく切りにして、それぞれ炒めていく。
次は、解体できるかどうかわからないが、ホーンラビットだ。
早めに血抜きしないと肉がダメになりそうだし、とりあえずは血抜きをしてみる。
といっても、ホーンラビットの首元に切れ込みを入れ、逆さにして血を抜く。
ざっと抜けたらナイフで皮を剥いでいくがやはりその辺は素人。
きれいにはできないがそこは仕方ない。
ざっと出来たら骨と肉を分けていく。
今度は肉に含まれている血抜き。
結構塩を使ってしまうかもしれないが、ホーンラビットの肉がそこまで大きくないし下処理がどこまで必要かわからないしね。
半分だけ血抜きして残りは一先ず焼いてみよう。
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「いただきます」
なれない解体とかしたから結構時間を食ってしまったが、なんとかできた。
周りはもうすっかり暗くなっている。
家のなかに照明らしきものはなかったから外に出て適当なところから木箱と木材をとってきた。それを机と椅子代わりに食事をする。
照明代わりは焚火だ。
劣化して崩れている家の木材を利用しているので、だれも文句は言わないと思う。
まぁ誰もいないけど。
できた料理を食べてみると、意外とおいしい。
特にアオドクタケは味付けは塩コショウのみだけど、キノコ独特のうまみが凝縮されている感じでそのままでも十分おいしい。
ホーンラビットは肉が新鮮なのでミディアムレアで焼いてみたが、意外といける。
血抜きをすればもっとうまいのかもしれないが、これでも十分においしい。
それに、鑑定でもでたが、高級食材というだけはある。
肉がめちゃくちゃ柔らかい。日本でA5ランクの肉と言われて出されてもわからないと思う。
と思うのはA5ランクなんか食べたことないからだけど・・・
まぁそこは置いていて、鑑定眼鏡や防具も手に入ったし、明日になったら少し検証してみよう。今の自分がどこまでできるのか。そして魔法に関してどこまでできるようになるのか。
しばらくは魔法についての検証と食料確保が必須になるだろう。
一応Sランクであるホーンラビットは倒しているが、半分はラッキーみたいな感じでもあった。
そうそうSランクなんて出ないとは思うが、自衛できなければ人族がすんでいる場所までたどりつけるかわからないし、そのための検証だ。
しばらくはじっくりやってみよう。