3話
「とりあえず、1匹は確保しないとなぁ・・・」
上流側に移動しながら釣りをしていたが、やはり警戒心が強いのかはたまた魚がいないだけなのかはわからないが、成果は上がっていない。
薪についての成果は十分すぎるほどあるのだけども・・・
釣りを始めてから1時間程度経ち、成果も見えそうにないので、山菜取りも並行して行うことにした。そうでもしないとご飯なしの可能性もあるし。
結果からいえば、成果なし。だが山菜を探しているときに蔦を見つけたので、ある程度の長さのものを切って持ち帰っていた。
「このまま食糧が確保できないのはあれだし、罠を作るかね。」
まずは、枝を一定の間隔に揃えて、蔦を使って織り込み、円柱を作る。
そこへ円錐形のものを2個作り、両サイドにはめ込んでいく。
いわゆる筒仕掛けもどきだ。
そこに餌として練り餌と重りとして石を入れて、川に沈めておく。
「うまくかかってくれよ~」
とお祈りして車に戻る。
街道沿いに車を止めても邪魔になるかもだし、森側にでも寄せとくかね。
車を移動させると、持ち物の整理をした。
「徒歩で行くならそこまでの重装備はできないから大きい荷物とかは置いていくとして、水と食料、調味料をリュックの中に入れてと。あとは携帯コンロとガスボンベ、ライターの予備と多少の消耗品かな」
アウトドア用に買った大きめのリュックに道具を入れて準備を整える。
小一時間経ったところで、罠を確認しに行ってみることにした。
「さ~て、かかってるかな~。かかってるといいなぁ」
仕掛けた場所は橋から上流へ5分ほど行った場所だ。
そこに大き目の岩があり、それを目印にしていた。
ゆっくり罠を上げてみると罠の重み以上に重さがあった。
「おっ、何かかかってるな。え~っとまずはナイフで罠のつなぎ目を切ってと。これは魚か?でっかい虫にも見えなくもないけど・・・その前に食えるのか?これ」
罠にかかったものを見てみると、大きさは50cm位で全体的に茶色っぽい。頭部から2本の触覚みたいなものがついており、ウネウネと動いている。頭部からしっぽの先まで海老のような甲羅があり体の横にイカのヒレにに似たものがついている。
ほかにも罠にかかっていないか確認するも中には入っていない。
「というか今までこんな生物見たことないな。古代種か?現状残っている古代種は大体しってるつもりだけど、こんなのは見たいことないな。とりあえず、車まで戻って食べれるかどうか判断しよう。」
「さて、解体してみますかね。まずは、血抜きだけどナイフは~・・・刺さりそうにないから関節部分にナイフを入れ・・・てってナイフ入らないな。そのまま焼いてみるか」
とりあえず、少しだけ地面に穴を掘り、周りに石を置いていく。
そこに拾ってきた木を適度な大きさに折り、木を組んでいく、
着火剤替わりになるようなものがなかったので、そこそこの太さの木を薄く削る。
いわゆるフェザースティックを作り、そこに火をつけて組んだ木の中に入れる。
よく乾燥しているようでなかなかよく燃える。追加の木を入れてしっかりと火を起こしておく。魚らしきものが乗る大きさのフライパンがないので水で洗い、アルミホイルに包んで火の中に放り込む。
「さてと、焼き加減は様子を見ながらになるな。とりあえず、食べれればいいけど・・・」
そんなことをしている間に徐々に日が暮れてくる。
先ほどと同じ要領で穴を掘り、火をつける。こちらは暖を取るためと照明代わりだ。
魚らしきものを放り込んで10分ほどで一旦取り出して様子を見てみる。
「さて、どうなってるかな・・・おぉ見事に甲羅が真っ赤に染まってるな。殻が剥ければ中身を確認できるんだけど」
ナイフを使い解体しようとしてもやはりナイフが入らない。
ここは力業でいくしかないかと思い、大型のサバイバルナイフを頭とのつなぎ目に置き、上から片手で持てるくらいの石で何度かたたく。
するとつなぎ目に刃が入り頭と分離できた。
初めからこうすればよかったんじゃね?と思いながら断面を見てみる。
「見た目は白身魚みたいな感じだな。匂いも大丈夫そうだし、いけそうか?」
結論から言おう。普通においしかった。調味料がなくても全然食べれるくらいにはうまみがあった。
半分は残しておいて明日の朝食用に容器に入れる。
さて、明日は徒歩での移動になるし、早めに休みますかね。