1話
「ピピッ・・ピピッ・・ピピッ・・・」
携帯のアラームが鳴り、目が覚める。
ぼやけた目で周囲を見ると違和感を感じたが、そういえば車中泊をしたんだっけと思いだす。
急に仕事がキャンセルになり久しぶりの連休になったので、リフレッシュを兼ねて隣県の山へキャンプをしに来たのだが、思いついた当日に準備して来てしまったので、場所が確保できなかったのだ。
季節的には、3月下旬なので、夜はまだまだ寒い。
もう少し寝袋に入っていたいとは思うが、今日は目的地があったので無理やり体を起こす。
「さて、トイレに行って飯でも食う・・か・・・」
ドアを開けた先には、見渡す限りの草原だ。
「えっ・・・確か昨日は・・・駐車場に止まった・・・よな?というか3月で草原っておかしくないか?ってかここどこよ・・・」
はい。しばらく茫然としてましたよ。トイレのことなどすっかり忘れて。
「とりあえず、状況を整理しようか・・・いや、その前に飯にしよう。」
どこまでもマイペースな悠樹である。
「とりあえず、朝飯は昨日の残りのスープにご飯を入れて雑炊にしよう。」
お腹が満足したので、状況を整理してみる。
「え~っと、そもそも昨日はキャンプ場使えなかったから近くの駐車場で車中泊をして、
一泊するつもりだったから多少の酒も飲んでるし、疲れもたまってたから早めに寝たまでは覚えてる。そこからは、携帯のアラームが鳴るまでは起きてはない。起きて外に出ると一面が草原と・・・」
状況を整理したつもりでも、どういう状況なのかさっぱりだ。
とりあえず、携帯で場所だけでも確認しようと地図アプリを起動させると、周囲1km以内に道路や建物すら表示されない。
故障か?とも思いながら縮尺すると東側に町?らしきものが表示された。
「これ・・・どこだ?そもそも周囲に道路表示がでないのもそうだが、何語なんだ?」
地図アプリに表示された文字を見てみるが、明らかに日本語ではない。
そもそもここがどこかわからない時点でおかしいのだが・・・
「とりあえず、ここにいても仕方がないし、この町?に行ってみるか」
随分とのんきなものだが、悠樹としては大真面目だ。
「とりあえず、携帯とモバイルバッテリーも充電しとかないと。シガーで充電しながら行こう」
エンジンをかけて出発準備を整える。
「さて、行きますかね~」