1、死月
ー『四月』。あたしにとっては、『死月』となった日。ー
初めてこの世界を見て、小さかったあたしはなにを思ったのか。
今は覚えてなど、いない。
だけど、危険なんだ、ってことは充分、理解してた。…つもりなんだよ。
それでも、あたしはここにきてよかったよ。多分、あたしのなかではね。
『破滅のスクール』と呼ばれるこのワールド「廻玖」が、目の前にある。
生徒は、約200人程。
男子だけの学園だ。...いや、だった。
校門は、赤いペンキで塗り手繰られている。
7歳から通える学校だが、年齢など関係ない。
全ては強さで決まる。らしい。
確か、その頂点に立つ人を、“力の頂点”というんだとか。
で、次が 、“楽園の騎士”て言う人達が5人いる。
その下は、“ネオ”と言い、10人で構成されている。
それ以下は“レリーズ”と言われ、約250人。
年に一度、位を決める勝負が行われる。
あたしはここに、14歳の今日をもって入界した。
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「押忍!諸君!! 」
「力強く生きたまえ!負けるな、ハゲるな、調子にのるな!以上。」
うえぇ、いみわかんないし。誰だよ。
着いた途端これだからね。はぁ。
まあ仕方ない。これも、あいつのためだ。
あたしの大切な、大切な、あいつの。
コンコン、
「失礼します。今日入学した、蓮夏 亰。(れんか けい) 14歳です。」
「お、新入りか⁉︎」
「はいれ。」
かチャッ。
きいぃ-
そこは、少しだけ、ローズのいい香りがした。
「お、女か。珍しいな。親の了承はとったのか?」
「あたしに、親は居ません。」
「おお、、、そうか。」
「じゃあ、これに着替えろ。制服だ。」
渡されたそれは、綺麗なダークブラウンのコートだった。
中の服の色は、自分で選べるらしかった。
私は、ラベンダー色のTシャツにロングパンツを選んだ。
ラベンダー色は、昔から好きだ。
思い出の色だからかな。
「お前は、入ったばかりだからレリースだ。だか、運がいいな。
もう直ぐ、位を決める試験がある。」
そうなんだ。なにすんのかな。
「まあ、これは大まかだからな。
細かい位もあるんだ。 」
え、本当に?
聞いたことなかった。このワールドが熱狂的なのは、そういうことだったのか。
そうして亰の新しい一日が始まったのだった。